『The Mismeasure of Man』

Stephen Jay Gould

(1981年刊行,W. W. Norton, New York, 352 pp., ISBN:0393014894

翻訳は:鈴木善次・森脇靖子訳『人間の測りまちがい:差別の科学史』(1989年,河出書房新社,東京).形態測定学・心理測定学・統計学にまたがるとてもおもしろい科学史の本だった.つい最近,本書でグールドが「データ改竄」であるとして糾弾したひとつのエピソードが,実はそうではなかったという反論が出た:Jason E. Lewis et al. (2011), The Mismeasure of Science: Stephen Jay Gould versus Samuel George Morton on Skulls and Bias. PLoS Biology, 9(6): e1001071. doi:10.1371/journal.pbio.1001071. Published: June 7, 2011 → html | pdf (open access).著者らの目的は,単に歴史的事実の指摘にあったわけではなく,グールドが結果的に「科学は社会的構築物に過ぎない」という誤った科学観に与してしまったという点を問題視している.