『男色山路露(解説共全二冊)』

尾崎久弥(校訂解説)
(1969年3月10日刊行,帙入和装限定版[第451冊/600部限定],有光書房,東京, 147 + 20 pp.)

永井荷風といえば,すぐ連想するのは金風山人戯作『四畳半襖の下張』である.もう30年も前にコピーした “無修正版” は本棚の目に留まるところにおさまっている.そういう目で古書展会場を徘徊していたら,あらあらこんな本が.

江戸時代の春画本や男色本あるいは西洋近代のBL本が新刊の文庫や新書で出るご時世だが,本書の元本は江戸時代の京都の絵師・西川祐信によるものという(1733年).校訂者・尾崎久弥の解説によると,原本は全3巻構成で,江戸川乱歩も上巻と中巻だけしかもっていなかったという.全3巻がコンプリートにそろっているのは校訂者の所蔵するものだけとのことで,かなりの稀覯本なのだろう.それでも CiNii Books で検索すると,国内所蔵館はいくつかあるようだ.