『ガンボ! ジャズの生地、ニューオーリンズに万感の思いを込めて』

泉けい

(2006年12月12日刊行,テン・ブックス,東京,271 pp.,本体価格1,400円,ISBN:4886960197目次版元ページ

今から6年も前に買ったのにぜんぜん読んでいなかった.先日ふと手にとってみたら実はとてもおもしろい本だった.1980年代なかばから2003年までの十数年にわたってニューオーリンズに住んだ著者の回想録.ワタクシがニューオーリンズに行ったのは,ハリケーンカトリーナ〉が襲来したあとの2007年のことだった(→ 「Cahier du Vieux Carré (28 June - 4 July 2007)」).スワンプの強烈な蒸し暑さ,ザリガニやオイスターやガンボやポーボーイの味覚,バーボン・ストリートの不夜城の喧騒,そして〈カフェ・デュ・モンド〉のベニエにてんこ盛りの粉糖.10年近く前の旅の記憶をたどりながら,30年も前の彼の地のようすを想像しながらの読書だった.本書に書かれている「ジャズ・フューネラル」ならぬ「ジャズ・ウェディング」をこの目で見ることができたのは幸運だったのかもしれない.