『殉教の日本:近世ヨーロッパにおける宣教のレトリック』読了

小俣ラポー日登美
(2023年2月28日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, 404+188 pp., 本体価格8,800円, ISBN:978-4-8158-1119-8目次版元ページ

喘ぎつつもなんとか登攀完了。これで百万遍交差点で “磔刑” に処せられる心配はとりあえずなくなったか。

日本での殉教者の運命を描いた「絵」(第4章)と「劇」(第5章)以上に、「聖遺物」(第3章)が生々しくてとても惹かれる。命を落とした殉教者たちの衣服はもとより、遺体の破片まで “聖遺物” として必死で拾い集めようとするキリシタンたちのふるまいは、日本の為政者たちにとってはさぞや畏怖の眼差しを向けるしかなかったのではないだろうか。かの〈九相図〉の仏教的な世界観とは相容れないような。

—— 120ページもある「注」が未読のまま残っているが、ま、ちょっとそれは今しばらくのご猶予を……。