『繁殖干渉:理論と実態』

高倉耕一・西田隆義(編)
(2018年11月30日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, viii+368 pp., 本体価格5,400円, ISBN:9784815809256版元ページ

ご恵贈ありがとうございます.ワタクシ的には担当章の執筆者はそれぞれ明記した方がいいと考えます.

【目次】
はじめに[高倉耕一] i

 

第 I 部 繁殖干渉の理論

第1章 繁殖干渉とは[高倉耕一] 3
第2章 繁殖干渉と種間競争[岸茂樹] 43

第 II 部 繁殖干渉の実態

第3章 繁殖干渉と外来種問題 —— タンポポを例に[西田佐知子] 93
第4章 個体群レベルでの繁殖干渉 —— イヌノフグリ類を例に[高倉耕一] 133
第5章 「種間競争」再考 —— マメゾウムシを例に[岸茂樹] 171
第6章 ニッチ分割と食性幅 —— テントウムシを例に[鈴木紀之] 215

第 III 部 繁殖干渉研究の現在と未来

第7章 最近の研究の動向[鈴木紀之・岸茂樹] 251
第8章 未解決の課題と展望[西田隆義] 287
引用文献 325
おわりに[西田隆義] 359
索引 365

『図説 日本未確認生物事典』

笹間良彦
(2018年11月25日刊行.KADOKAWA角川ソフィア文庫・J-125-1],東京, 474 pp., 本体価格1,200円, ISBN:9784044004439版元ページ

1994年に柏書房から刊行された本の文庫化.妖怪の図像がいっぱい.

【目次】
はじめに 8
凡例 10

 

擬人的妖怪編 11
魚と亀の变化 191
龍蛇類の变化 201
獣類の变化 271
鳥類の变化 407
湿性類の变化 431

 

引用文献一覧 465
解説[湯本豪一] 468

『東西ベルリン動物園大戦争』

ヤン・モーンハウプト[黒鳥英俊監修|赤坂桃子訳]
(2018年9月18日刊行,CCCメディアハウス,東京, 374 pp., 本体価格2,600円, ISBN:9784484181080版元ページ|監訳者記事

第二次世界大戦前から東西分断時代にいたるドイツを「動物園」というユニークな視点から見た興味が湧きそうな本. この9月に翻訳出版されていたことをうかつにも見過ごしていた.原書:Jan Mohnhaupt『Der Zoo der Anderen: Als die Stasi ihr Herz für Brillenbären entdeckte & Helmut Schmidt mit Pandas nachrüstete』(2017年2月刊行, Carl Hanser Verlag, München, ISBN:9783446255043版元ページ).

旧東独の国家秘密警察シュタージが本書の一方の主役なので,原題は『善き人のための動物園:メガネグマを配備した東独のシュタージとパンダで軍拡した西独のヘルムート・シュミット』とでも訳せるのかな.でも,それだと映画〈善き人のためのソナタ(Das Leben der Anderen)〉を知らない日本人読者にはきっと通じないにちがいないので,『東西ベルリン動物園大戦争』という翻訳書名は意外にいいかもしれない.

東西を隔てる “壁” によって分断されていた冷戦時代の東ドイツでシュタージが当時の科学研究に与えた影響については,ヴィリ・ヘニックの伝記にもくわしく書かれている(→ ワタクシの書評).本書『東西ベルリン動物園大戦争』では,同時代の東西ドイツの動物園を舞台になっている点で興味を惹かれる.

なお訳書では原書にはある文献リストと索引がすべて省略されている.かなり残念.文献資料的価値はほぼゼロになってしまった.というわけで,Amazon.de に独語原書を発注した.

【目次】
地図 1
主な登場人物 2

 

プロローグ――動物園人 11
第1章 戦争とワニの尻尾のスープ 21
第2章 動物園フィーバー 57
第3章 第四の男 95
第4章 パンダと国家の威信 131
第5章 狩猟家と収集家 171
第6章 大きな計画、小さな魚 223
第7章 一つの島に二頭のクマ 253
第8章 灰色の巨人、倒れる 293
エピローグ――古い男たちと新しい時代 335
その後 349

 

謝辞 359

 

 
訳者あとがき 362
監修者解説 366

『随筆 本が崩れる』中公文庫版

草森紳一
(2018年11月21日刊行,中央公論新社[中公文庫], 東京, ISBN:9784122066571版元ページ

十年あまり前に出た元本:草森紳一随筆 本が崩れる』(2005年10月20日刊行,文藝春秋[文春新書472],ISBN:4166604724感想版元ページ)はもちろんすでに読んだ.しかし,今回の文庫化に際して「単行本未収録原稿を増補」などと書いてあれば心安らかではいられない.

『Shūrin Tekagami: Illustrated book of fish and aquatic animals compiled by Matsudaira Yoritaka, the Lord of Takamatsu in 18th century Japan』

Yoritaka Matsudaira, 宝暦12年(1762年)
所蔵:Columbia University Libraries Digital Collections
 → https://dlc.library.columbia.edu/catalog/ldpd:143870

香川県ミュージアムで閲覧する機会を得た『衆鱗図』とは別に,松平家から幕府に『衆鱗手鑑』が献上された.しかし,この『衆鱗手鑑』はその後は行方不明になったとミュージアムでの打合せの際に聞いた.東大理学部の広報記事:赤坂甲治「失われた幕府献上魚図の発見」によると,献上物の『衆鱗手鑑』はあの Bashford Dean が1900年に来日したときに入手したらしい.彼は三崎の東大臨海実験所で魚類学者としての研究をすると同時に,考古学者として日本の武具についても調査した.Dean が『衆鱗手鑑』について知ったとしたらきっとその時だろう.アメリカに渡った『衆鱗手鑑』のうち31葉は現在コロンビア大学図書館デジタルコレクションからネット公開されている.

『モンテレッジォ:小さな村の旅する本屋の物語』

内田洋子
(2018年4月17日刊行,方丈社,東京, 348 pp., 本体価格1,800円, ISBN:9784908925290版元ページ特設ページ

出版された時から気にはなっていたのだが,最近になって方々の書店で棚から “呼ばれる” ことが多くなり,これも何かの縁だろうとレジにお連れした.文章とカラー写真を交互に愉しめる画文集のような読み心地.

【目次】
はじめに 6
1 それはヴェネツィア古書店から始まった 12
2 海の神、山の神 32
3 ここはいったいどこなのだ 52
4 石の声 72
5 貧しさのおかげ 94
6 行け、我が想いへ 114
7 中世は輝いていたのか! 134
8 ゆっくり急げ 158
9 夏のない年 180
10 ナポレオンと密売人 200
11 新世界に旧世界を伝えて 218
12 ヴェネツィアの行商人たち 234
13 五人組が時代を開く 258
14 町と本と露店商賞と 274
15 ページに挟まれた物語 300
16 窓の向こうに 310
あとがきに代えて 本が生まれた村 334

 

資料一覧 [344-340]
初出 [345]

『中世思想原典集成精選1:ギリシア教父・ビザンティン思想』

上智大学中世思想研究所(編訳・監修)
(2018年11月刊行,平凡社平凡社ライブラリー・874], 東京, 本体価格2,400円, ISBN:9784582768749版元ページ

今朝の朝日新聞広告に載っていた.全7巻構成.買わないときっと天罰が下るんですよね(誰に訊いてるねん).『中世思想原典集成(全21巻)』はすでにワタクシの居室の本棚の奥で長年にわたって妖気を放っている.『精選』がこれから新たに出るとなると,またあの “漬物石” たちをひもとく機会が増えるのだろうか.それよりも,見ないふりをしてまたぐ気満々の『中世思想原典集成(第II期)』をどうしましょ.