(2004年12月20日刊行,集英社文庫,isbn:4087477711)
地域雑誌『谷中・根津・千駄木』の創刊号は1984年10月15日に発行された.ぼくは当時の下宿近く,不忍通りに面した千駄木の清水書店でこの創刊号を買った.表紙を含めて12ページというぺらぺらの黄色いパンフレットは〈菊まつり特集号〉と銘打たれている.その頃,学位論文の作成に追われていたぼくは,原稿の清書に謀殺されていて,とあるつてを頼って「谷根千」三人組のおひとり(森まゆみさんの本にも登場する“ヤマサキ”さん)に清書を手伝ってもらったことがある.『谷根千』創刊の忙しいときに,ワケわかんない原稿の清書をしていただいたことには今でも感謝している.年4冊の季刊発行だった『谷根千』は,千駄木に住んでいた間はほとんど欠かさず買い求めていた.だから,つくばに住むことになった1989年10月に出た第21号まではコンプリートにそろっている.それ以降は,千駄木に立ち寄るたびにぽつぽつと買っていたので方々に欠号があるが,それでも昨年夏の第77号までは買い続けている.20年にもわたってよく続いていると感心する.森まゆみさんにはすでにたくさんの著書があるが,最初の本『谷中スケッチブック』(1985年12月10日刊行,エルコ,ISBN: なし)はいい本だったと思う.