『社会生物学論争史:誰もが真理を擁護していた2』

ウリカ・セーゲルストローレ

(2005年2月23日刊行,みすず書房ISBN:4622071320



第二部〈社会生物学論争を読み解く〉の第10章「批判者たちの心のうち」と第11章「科学の庭園における攻防」読了.60ページほど.社会生物学の批判者たち(「人民のための科学」グループ)の批判の理念と戦略についての論議.とくに,彼らが陥った「道徳主義的誤謬(moralistic fallacy)」が描かれていて興味深い.道徳的・政治的な誤りは必然的に科学的にも誤っているにちがいないという先入観が批判者側に犯させた過誤.とくに,社会生物学者を「プランター(植える人)」,それに反対する批判者を「ウィーダー(抜き取る人)」と性格づけることにより,著者はウィーダーに割り振られた“消防士”的役割あるいは“警察官”的役回りをあぶりだす.