関口義人
(2005年10月1日刊行,青土社,ISBN:479176210X)
【感想(まとめて)】
10年ほど前にブダペストで聴いたジプシー・バンドのツィンバロンの見事な演奏もさることながら,バイオリンの独特の奏法を今でも覚えている.この本,とてもおもしろそうです.
第3章まで.100ページあまり.ジプシー(ロマ)の人類学的な起源についての分子進化の研究に言及されている.インドがルーツとのこと.そこから西に移動してヨーロッパに達したらしい.
第4〜5章.セルビア・モンテネグロからマケドニア,そしてアルバニアへの道.ジプシーを取り囲む厳しい現実と超絶技巧なブラスバンドの熱狂の繰り返し.80ページほど.
第6〜8章を読み,読了.ハンガリーからチェコ,スロバキア,そしてウィーン.日本でも有名なロビー・ラカトシュはとても歴史のある正統派のロマ・ミュージシャン家系の出であることを知る.
全体にわたって,困難な現地入りを繰り返して報告された濃厚なルポルタージュ.民族問題と職業音楽との関わりについて深く考えさせられる.とてもいい本.