ロバート・N・プロクター(宮崎尊訳)
(2003年9月8日刊行,草思社,ISBN:4794212267)
JR松本駅ビル内の改造社書店でたまたま見つける.きっと載っているにちがいないと推測した通り,Karl Astel の経歴について詳しく書かれていた(初めて肖像写真も見ることができた).ただし,この本では,系図理論家としての Astel ではなく,強硬な「禁煙主義者」としての彼の活動が描かれている.ナチス時代にイェナ大学学長だった彼は,大学内にタバコ撲滅運動のための研究施設まで創ったという.タバコの害を飽くことなく説法し続けた健康主義者 Astel は,他方では精神病患者の処刑を繰り返し当局に働きかけたそうだ.
あるテーマで調べものをしているとき,関連書を書庫や書店で探す過程でたいてい向こうの方から“自発的”に名乗り出てくる.読んでもらいたいのだろう.逆に,本棚のどこかにいるはずなのに,さんざん掘り返しても出てこない本は「今は読まれたくないのだろう」と納得することにしている.
【目次】
序文 7
第1章:ヒューパーの隠された過去 21
第2章:ガン研究,組織化される 47
第3章:遺伝と民族に関する学説 75
第4章:職業病としてのガン 93
第5章:ナチス・ドイツの食生活 145
第6章:タバコ撲滅運動 209
第7章:残虐と凡庸と 293
原注 331
訳者あとがき 345
人名索引 [355 - 350]
参考文献 [I - XVIII]