『星の王子さまの眠る海』

エルヴェ・ヴォドワ(香川由利子訳)

(2005年8月10日刊行,ソニーマガジンズISBN:4789726118



南仏マルセイユ沖に墜落したとされる『星の王子さま』の著者にしてパイロットのアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ機の“再発見”の顛末.本人のブレスレットの発見それ自体が奇跡的なのだが,それに続く紛争,とりわけ遺族たちの頑な態度はこれまた現実離れしている.サン=テックスがいなくなり,もともと遺族に疎まれていたという妻コンスエロもいなくなったあとのゴタゴタ話は聞くだにつらいものがある.「こんなことでは,さぞや草葉の陰で〜」と言いたくなった.ぼくは2000年の5月30日にオランダのレイデン滞在中(→ Hennig XIX 記録)にこの“再発見”ニュースを新聞で読んだが,本書194ページ以降に,この時期の過熱した報道ぶりが記されている.




【目次】
ブロローグ 9
第1章:「星の王子さま」帰投せず 12
第2章:さまざまな情報に踊らされて 29
第3章:奇跡を起こしたマルセイユの漁師 49
第4章:必死の機体捜索にもかかわらず 83
第5章:ブレスレットは本物か偽物か 101
第6章:相続人から送りつけられた抗議文 138
第7章:最初の手がかりを追え! 159
第8章:全世界に流れた衝撃のニュース 175
第9章:確認された製造番号「2734L」 201
第10章:「墜落のシナリオ」を読み解く 252
エピローグ 265
謝辞 271
参考文献 272
訳者あとがき 274