『生物系統学』

三中信宏

(1997年12月15日第一刷刊行/1999年10月15日第二刷刊行(正誤表)/2004年9月15日第三刷刊行(正誤表)/2012年9月14日第四刷刊行(正誤表), 東京大学出版会ナチュラル・ヒストリー・シリーズ], 東京, xiv+458 pp., 本体価格5,600円(第四刷5,800円), ISBN:4130601725 | ISBN:9784130601726コンパニオンサイト目次版元ページ

ワタクシの『生物系統学』はときどきブックオフのような新古書店の忘れ去られた理系コーナーに激安価格で “放置” されていることあり.ソーバー過去を復元する』だって,千円台の値段で叩き売られていたのを目白駅近くのブックオフで目撃したことがある.オンライン(古)書店で高い物件をつかまされるよりは,リアル(古)書店をまわった方が得策かもしれない.

いま気がついたんだけど,アマゾンの『生物系統学』書評:「文系・理系を問わずお勧めしたい一冊」(2010年2月3日)は,とてもありがたやありがたや.この本は東大出版会から執筆依頼された35歳のときから五年ほどかかった単著だった.自分の専門分野での最初の単著はその後の進路を方向づけるので今でも思い入れがある一冊だ.それだけでなく,本書は続くワタクシの単著群のルーツでもあった.『進化思考の世界』の「あとがき」に記した通り:

  • 「本書『進化思考の世界』は、前著である『系統樹思考の世界』と『分類思考の世界』に続く三冊目の「思考本」である。私が本を書くときは前作の延長線上にビジョンを描くので、この三冊は明らかに「姉妹本」であると断言できる。しかし、さらにさかのぼるならば、これらの本のルーツとして私の処女作である『生物系統学』(三中一九九七)を挙げることは自然な流れだろう。その本を書くのに私は約五年を費やした。この点に関してはグールドと同じく本を育てたという自負がある。」(p. 238)


  • 「『生物系統学』以降の私の「思考本」たちは、本書を含めて、いずれもこの問題意識を共有しつつ書かれてきた姉妹本である。この意味で、私はなお未完成の単一仮想本を今も連綿と書き続けているのかもしれない。装幀と造本の上では確かに個別分割された別個の書物であることは否定しようもない。しかし、内容のつながりからいえば、私はこの十年あまりをかけて一冊の仮想本を書き続け、なおそれは完結しそうにないという夢想すらしてしまうことがある。」(p. 239)

—— この “単系統群” はいまも将来に向かって開かれている.