そういえば,最近出版された生物学史(通史)本はまったく思い当たらない.進化学とか体系学のような個々の生物学分野ごとの歴史本なら多々あるのだが.1970年代なら,たとえば中村禎里『生物学の歴史』とかガーランド・アレン『20世紀の生命科学』みたいな典型的な通史がある.
比較的新しいところでは,ジョン・A・ムーア[青戸偕爾訳]『知のツールとしての科学:バイオサイエンスの基礎はいかにして築かれたか(上・下)』(2003年1月15日刊行,学会出版センター,ISBN:4762230073 [上巻] / ISBN:4762230081 [下巻] → 書評|目次)とかチャールズ・シンガー著[西村顯治訳]『生物学の歴史』(1999年10月1日刊行,時空出版,東京,本体価格15,000円,xii+513pp., ISBN:4882670267 → 書評)を読んだことはある.
いろいろ考えてみたが,Ernst Mayr『The Growth of Biological Thought: Diversity, Evolution, and Inheritance』(1982年刊行,Harvard University Press, Cambridge, xiv+974 pp., ISBN:0674364457 → 版元ページ)が(比較的)最近刊行された生物学全般にわたる通史本としては今でもベストチョイスかもしれない.