『教会の怪物たち:ロマネスクの図像学』

尾形希和子

(2013年12月10日刊行,講談社[選書メチエ・565],東京,350 pp., 本体価格1,900円,ISBN:9784062585682版元ページ

【目次】
はじめに 8


第1章 怪物的図像とイコノロジー的アプローチ 25

 1 従来のイコノロジー研究の限界 27
 2 ロマネスク美術の三つの境界侵犯 32
 3 新しいアプローチの可能性 56


第2章 神の創造の多様性としての怪物・聖なる怪物 59

 1 セビーリャのイシドールスによる「驚異的なもの」 60
 2 神の被造物 63
 3 「聖性の顕現(ヒエロファニー)」 68
 4 反−人間形体主義(アントロポモルフィズム) 93


第3章 怪物的民族と地図 95

 1 中世の写本における怪物的民族の図像 99
 2 スーヴィニーの八角柱 103
 3 床モザイク上の怪物的民族 106
 4 半身半獣の怪物(ケンタウロスサテュロスミノタウロス) 111
 5 翻訳時の混乱が生む怪物 118
 6 民族名の語源について 124
 7 モデナ大聖堂の怪物的民族 127
 8 「他者」の表象としての怪物――オリエンタリズムミソジニー 133


第4章 「自然の力」の具現化としての怪物 147

 1 セイレーンとワイルドマン 148
 2 グリーンマン――循環する「時」の象徴 153
 3 四大(火、土、水、大気)と怪物 156
 4 風の怪物 163


第5章 世俗世界を表す蔓草――ピープルド・スクロール 171

 1 モデナ大聖堂のピープルド・スクロール 173
 2 キールティムカとグリーンマン=オケアノス 190
 3 ロマネスクの美意識と蔓草 198
 4 怪物的形体の装飾的生成 202


第6章 悪徳の寓意(アレゴリー)としての怪物から辟邪としての怪物へ 207

 1 悪魔としてのハイブリッドの怪物 210
 2 異教徒や悪徳のアレゴリーとして 214
 3 悪徳に満ちた世俗の海 217
 4 変身(メタモルフォーズ)について 221
 5 悪魔払いされる怪物 225
 6 不安の克服の手段 228
 7 グロテスクと笑い 231


第7章 古代のモティーフの継承と変容、諸教混淆(シンクレティズム)――ドラゴンとセイレーン 237

 1 蛇としてのドラゴン 238
 2 ドラゴンの翼 244
 3 ドラゴンの足、口から吐く火炎 247
 4 尾の力――結び目の魔力 251
 5 毒には毒を 254
 6 爬虫類間の混乱 258
 7 人魚(セイレーン)と古代美術 260
 8 イタリアの紋章と人魚 268
 9 ロマネスクの人魚と諸教混淆 274
 10 新世界の諸教混淆 287
 11 セイレーンと音楽 294


結び 怪物的中世 299



註 310
あとがき 335
主要参考文献 [341-339]
図版出典一覧 [344-342]
索引 [350-345]