C. Hayashi, K. Yajima, H. H. Bock, N. Ohsumi, Y. Tanaka, and Y. Baba (eds.)
(1998年刊行,Springer-Verlag[Series: Studies in Classification, Data Analysis, and Knowledge Organization], Berlin, xv+780 pp., ISBN:9784431702085 [pbk] → 版元ページ)
「データ・サイエンス(data science)」にはいくつかのルーツがあるようだが,ワタクシが知っているルーツのひとつは林知己夫が提唱している.かつて日本分類学会にいた20年あまり前,統計数理研究所の大隅昇さんがしきりに「データ・サイエンス」の重要性を強調していた.大隅昇さんの回想文「「データ科学」はいかに誕生したか」日本分類学会会報 no. 22, pp. 1-2(2000年2月発行 pdf)を見ると,この「データ科学」は林知己夫と結びついていたことがわかる.大隅昇さんによれば,日本での「データ科学」が立ち上がったのは1980年代後半ということになる.広尾の南部坂を上がったあたりではこの言葉が口にされていたのだろう.
その後,林知己夫,大隅昇を中心に国際分類学会連合(IFCS)の第5回国際会議が1996年に神戸で開催されたときのプロシーディングは『Data Science, Classification, and Related Methods』という書名だった.ワタクシの知っているかぎり,「データ・サイエンス」が書名になったのはこのプロシーディングが最初だった.
現在の「データ・サイエンス(data science)」がどのようなニュアンスをこめて使われているかにはワタクシ的にはほとんど関心がないが,その歴史的ルーツが複数であることはとても興味深い.