『SS先史遺産研究所アーネンエルベ:ナチスのアーリア帝国構想と狂気の学術』目次

ミヒャエル・H・カーター[森貴史監訳|北原博・溝井裕一・横道誠・舩津景子・福永耕人訳]
(2020年2月29日刊行,ヒカルランド,東京, 797 pp., 本体価格9,000円, ISBN:978-4-86471-827-1版元ページ

つくばに着弾した “破格” のブツ.よくぞ出したなあ.ナチス親衛隊(SS)の国家的研究機関〈アーネンエルベ〉は第2次世界大戦中のドイツでの進化生物学の歴史をたどるときには方々で出くわす.ワタクシの『系統体系学の世界』にもアーネンエルベは登場している.第1章「第一幕:薄明の前史 —— 1930年代から1960年代まで」の「第四景:ドイツ体系学の系譜 —— 体系の重み 1931〜1966」でナチス・ドイツ時代の進化生物学を論じた(pp. 97-101).アーネンエルベ所属の進化学者たちの話を取り上げた.たとえば,ドイツ版進化的総合を成し遂げた論文集『生物の進化(Die Evolution der Organismen)』(1943)の編者ゲルハルト・へベラー(Gerhard Heberer)は〈アーネンエルベ〉所属だった.


【目次】
凡例 6
ヨーロッパ全体図 8
ドイツ国内図 10
組織図 11

 

まえがき 14

 

第1章 アーネンエルベ協会の創立 1935年 19
第2章 初期アーネンエルベの学術研究 1935‒1937年 62
第3章 拡張期のアーネンエルベ 1937‒1939年 97
第4章 第2次世界大戦までの研究業績 ‒1939年9月 152
第5章 文化政策における警察機能 199
第6章 ドイツ国境を越えた文化政策 239
第7章 戦時下の学術研究 318
第8章 アーネンエルベの軍事研究 384
第9章 戦時中の文化政策の強制的同一化措置 450
第10章 危機 514
第11章 望んだものと現実と 590

 

第2版へのあとがき 601
監訳者解説 612

 

年表 [625-620]
原注 [752-626]
図版出典一覧 [755-753]
参考文献 [783-756]
略語一覧 [786-784]
索引 [791-787]
人名索引 [795-792]

 

訳者一覧 [797-796]

 

本書は厚さ800ページで9000円.挑戦的な価格設定ではあるがけっして高くはないだろう.さて,誰がこの本を手にするのだろうか.参考情報:ななつのほしぞら「学術と妄想が融合するとき何が起こるか?2月6日新刊『SS先史遺産研究所アーネンエルベ』ご紹介!」(2020年1月18日).