三中信宏
(2010年9月下旬刊行予定,日本放送出版協会[NHK Books],東京)
章の下の見出しについては変更の可能性がありますが,いちおう内容紹介をかねて掲載しておきます.現在,初校ゲラを読んでいる段階ですので,小見出しは今月中には確定するでしょう.
【詳細目次(案)】
はじめに序章:進化学の「源流」をたどる旅への出発
1.インターネットに生きるチャールズ・ダーウィン
2.図像世界を広げたエルンスト・ヘッケル
3.進化思考の起源:ダーウィンとヘッケルの背後にあるもの第1章:チャールズ・ダーウィンを取り巻く英国博物学の空気
1.チャールズ・ダーウィンはいかに生きたか
2.旅するナチュラリストたちは何を見たのか
3.イギリスの伝統的自然観とナチュラル・ヒストリー運動
4.ダーウィン進化論の背景となった博物学の空気第2章:エルンスト・ヘッケルとドイツ体系学の系譜
1.「万能酸」としての進化思想が及ぼした影響
2.エルンスト・ヘッケル,あるいは審美的自然観の伝統継承者
3.「Systema naturae」の栄枯盛衰:大陸的な体系学精神のゆくえ
4.体系のシンボル:分類と系統の図像学に向けて第3章:描かれる進化の図像:分類,系統,マップ,ネットワーク
1.バルトークの民謡分類とその博物学的精神
2.系図の起源と広がり:生命の樹,エッサイの樹,神聖系譜,写本ステマ,言語系統
3.ふたつの思考:世界観・レトリック・方法論
4.系統樹思考の系譜をたどる第4章:生物多様性を体系化する:時間軸と空間軸の可視化の試み
1.去る者日々に疎し:マクリーと五員環分類体系の時代
2.生物分類学から生物地理学へ:スウェインソンの挑戦
3.起源地を求めて:フォーブズと歴史生物地理学の黎明
4.対蹠地からの第二幕:生物多様性の時空的パターン分析第5章:体系思考と進化思考:存在と過程を探究する方法論
1.進化する科学の痕跡をとらえること
2.ヒトを取り巻く「環世界」と体系化の精神
3.パターンからプロセスへ:存在の探究,過程の探究
4.進化史の総体と進化子の動態第6章:21世紀の進化学と体系学:温故知新か偶像破壊か
1.系統情報学:系統樹思考に基づく生物情報学
2.サイバー分類学:インターネット時代の生物多様性情報学
3.パラメトリック系統学:統計科学としての系統推定論
4.科学哲学:進化的思考からみた科学方法論と科学論終章:系統樹なくしては何ものも意味をもたない
1.中心から周縁へ:進化生物学の歴史と系譜
2.表層から深層へ:進化的思考の起源と波及
3.分類,系統,進化:三位一体の想念
おわりに
引用文献リスト
図版出典
索引