三中信宏
(2018年4月20日刊行予定,勁草書房[けいそうブックス],東京, 507 pp.[xii+430+lxv pp.], 本体価格2,700円, ISBN:9784326154517 → 版元ページ|コンパニオン・サイト)
【目次】
まえがき —— では,トレッキングに出発しましょうか ii
プロローグ 科学という営みを生き続けること —— 自分史をふりかえりつつ 1
(1)夜明け前のこと —— 1980年まで 1
(2)結界に踏み込む —— 1980年から 11
(3)いま生きている科学とともに 20
第1章 第一幕:薄明の前史 —— 1930年代から1960年代まで 21
(1)活劇としての生物体系学がたどった現代史 22
(2)体系学曼荼羅〔1〕を歩く 28
◇第一景:現代的総合前夜 —— 夜明け前の風景 1937〜1940 37
1)ダーウィニズムの黄昏,アルファ分類学,実験分類学派 37
2)一般生物学に関係する体系学研究協会と『新しい体系学』 40
◇第二景:現代的総合 —— 新世界にて 1939〜1949 43
1)エルンスト・マイアーとナチュラリストの伝統 43
2)種分化学会から遺伝学・古生物学・体系学共通問題委員会へ 48
◇第三景:新しい体系学 vs. 古い体系学 —— 場外乱闘 1946〜1962 52
1)進化学会と動物体系学会の創立 52
2)リチャード・ブラックウェルダーと「古い体系学」の反撃 58
◇第四景:ドイツ体系学の系譜 —— 体系の重み 1931〜1966 64
1)パターンベース型研究としての生物系統学 64
2)自然哲学,観念論形態学,系統学 68
3)オテニオ・アーベルによる形質進化方向性と系統推定論 72
4)アドルフ・ネフの体系学的形態学と観念論系統学 80
5)ヴァルター・ツィンマーマンの系統推定論 86
6)比較行動学における系統推定論:チャールズ・ホイットマン,オスカー・ハインロート,コンラート・ローレンツ 91
7)ゲルハルト・ヘベラーとナチス・ドイツ時代の進化生物学 97
8)ヴィリ・ヘニック,系統体系学,そして分岐学へ 101
◇第五景:生物測定学から数量分類学へ —— 統計的思考 1936〜1963 113
1)ロナルド・フィッシャー,エドガー・アンダーソン,生物測定学 113
2)ジョージ・シンプソンと『計量動物学』—— 統計学をめぐる世代間ギャップ 116
3)ロバート・ソーカルと数量表形学の登場 —— コンピューター時代の幕が上がる 119
第2章 第二幕:論争の発端 —— 1950年代から1970年代まで 127
(1)ザ・ロンゲスト・デイ —— 進化体系学と数量分類学と分岐学の闘争 128
(2)体系学曼荼羅〔2〕を歩く 130
◇第六景:分類は系統か類似か —— システマティック・ズーロジー誌に見る舞台袖での小競り合い(1956〜1959) 131
◇第七景:数量分類学の広がる波紋 —— 新アダンソン主義が体系学界に波風をもたらす(1958〜1965) 140
◇第八景:分岐学の第一のルーツ —— エドワーズ-カヴァリ=スフォルツァの最小進化法とカミン-ソーカルの最節約法(1963〜1967) 148
◇第九景:分岐学の第二のルーツ —— 系統シュタイナー問題への離散数学的アプローチ(1963〜1968) 163
◇第十景:分岐学の第三のルーツ —— ワレン・ワーグナーの祖型発散法による仮想共通祖先の復元(1950〜1969) 174
◇第十一景:分岐学の第四のルーツ —— ジェイムズ・ファリスのワーグナー法アルゴリズムと数量分岐学の登場(1969〜1970) 182
◇第十二景:分岐学の第五のルーツ —— ヘニック系統体系学の英語圏での受容(1965〜1975) 189
第3章 第三幕:戦線の拡大 —— 1970年代から現代まで 205
(1)生きている科学の姿をとらえること 206
(2)体系学曼荼羅〔3〕を歩く 216
◇第十三景:分岐学革命 —— ガレス・ネルソンによるヘニック理論の受容(1969〜1973) 217
◇第十四景:発展分岐学 —— 体系学的パターン理論の数学的体系化(1973〜1981) 231
1)ネルソン原稿(1976):分岐図と系統樹を分ける 234
2)分岐成分分析:パターン分岐学が確立する 239
3)体系学的パターンは進化プロセス仮定に先行するか 243
◇第十五景:最節約原理 —— 樹形探索と祖先形質状態復元の方法論(1981〜1987) 251
◇第十六景:ヴィリ・ヘニック学会 —— 創立から論争そして対立へ(1980〜現在) 262
◇第十七景:分断生物地理学 —— 体系学から地理的分布パターンへの外挿(1974〜現在) 267
◇第十八景:パターン分岐学ふたたび —— 三群分析法をめぐる論争の経緯(1991〜現在) 284
◇第十九景:分子体系学 —— 確率論的モデリングに基づく系統推定論(1981〜現在) 292
◇第二十景:文化系統学 —— 言語・写本・文化・遺物の系統体系学(1977〜現在) 299
第4章 生物学の哲学はどのように変容したか:科学と科学哲学の共進化の現場から 309
(1)統一科学運動とグローバルな生物学哲学の伝統 —— ジョゼフ・ウッジャーとジョン・グレッグの公理論的方法(1959年以前) 312
(2)ローカルな個別科学への生物学哲学の適応 —— モートン・ベックナーの系譜とカール・ポパーの登場(1959年〜1968年) 319
(3)現代的総合の残響のなかでの胎動 —— エルンスト・マイアー,マイケル・ギゼリン,ディヴィッドハル(1969年) 326
(4)生物学哲学のローカル化は体系学に何をもたらしたか —— 学派間論争の時代を経て(1970年〜現在) 332
第5章 科学と科学哲学の共進化と共系統 345
(1)序奏:科学者と科学哲学者のある対話から 347
(2)主題:多様な科学のスペクトラムは連続している 351
(3)変奏:三つのケース・スタディー 354
1)系統推定論 —— 仮説演繹主義,反証,アブダクション 357
2)験証可能性 —— 論理確率,背景仮定,裏付け,厳格性 368
3)最節約原理 —— オッカムの剃刀,最小化,最尤推定法 377
(4)コーダ:科学は科学哲学を利用し,科学哲学も科学を利用した 396
エピローグ 科学の百態 —— 生まれて育って変容し続ける宿命のもとに 401
(1)科学の本質をめぐる論争 —— スティーヴン・ジェイ・グールド vs. ディヴィッド・ハル 401
(2)科学の系譜が問われるとき —— ある歴史の蹂躙から学ぶべきこと 408
(3)クオ・ヴァディス? —— “May you live in interesting times” 414
あとがき —— とある曼荼羅絵師ができあがるまで 419
謝辞 427
文献リスト [xv–lxvi]
人名索引 [vii–xiii]
事項索引 [i–vi]