『史上最悪のインフルエンザ:忘れられたパンデミック』

ルフレッド・W・クロスビー[西村秀一訳]
(2004年1月16日刊行,みすず書房,東京, 420 + lv pp., 本体価格3,800円, ISBN:4-622-07081-2目次版元ページ[新装版]

二日間に及ぶ懸命の捜索の末に地層の最下部からやっと掘り出した.ちょうど一世紀前の1918〜19年に世界的に大流行した〈スペイン風邪〉の歴史をたどった大著.もともと医療用具だった「マスク」がパンデミックを恐れた一般市民の間に急速に広がっていくようすが描かれている.マスク着用条例が敷かれたサンフランシスコでは:「マスクもかけずに挨拶することが著しく礼を失することになり,かけないでいる人は他人に相手にされなくなり」(p. 134-5).第8章「洋上のインフルエンザ」では閉鎖空間である船の中で蔓延したインフルエンザがもたらす災厄が接岸・上陸したあとも続いたと書かれている.まちがいなくタイムリーな本.新装版もすでに品切れとのことだがいま必死のパッチで重版しているらしい.