上野敏彦
(2020年2月14日刊行,平凡社[平凡社新書・934],東京, 286 pp., 本体価格880円, ISBN:978-4-582-85934-8 → 版元ページ)
読了.手練の日本酒ライターによる蔵元復活物語.福島の浪江町で東日本大震災に遭い,蔵ごと山形に移転して酒造りを続ける.東京農大醸造学科を軸とする極太人脈の威力はものすごいな.鈴木酒造〈磐城壽〉をいただく機会はそう多くはないのだが,確かに魚介類のアテにとても合う風味と太さだとワタクシは感じた.〈磐城壽〉のラベルには漁船の羅針盤と「IWAKI KOTOBUKI — “The Fishermen's Toast” 」という木下酒造(〈玉川〉蔵元)のフィリップ・ハーパー杜氏の言葉が記されている.同じ著者の『闘う純米酒:神亀ひこ孫物語』(2006年12月13日刊行,平凡社,270 pp.,本体価格1,500円,ISBN:4-582-82450-1 → 版元ページ|平凡社ライブラリー)や『闘う葡萄酒:都農ワイナリー伝説』(2013年1月23日刊行,平凡社,東京,4 color plates + 279 pp., 本体価格1,900円,ISBN:978-4-582-83604-2 → 版元ページ)とは一線を画す味わいを楽しんだ.さて,近場で〈磐城壽〉を探さないと.
【目次】
序章 奇跡のスピード再生 9
第1章 震災後の決断 21
第2章 故郷の海辺を思う 65
第3章 異郷の地で酒を造る 119
第4章 土を耕し、酒を醸す 187
第5章 故郷・浪江へ帰る日 233
あとがき──日本一であり続ける意味 276
参考・引用文献 284