『心の進化を解明する:バクテリアからバッハへ』

ダニエル・C・デネット[木島泰三訳]

(2018年7月18日刊行,青土社,東京, 2 color plates + 712 + 34 pp., 本体価格4,200円, ISBN:9784791770755目次版元ページ

書評記事を日本経済新聞に書いた:評者・三中信宏人間が文化をつくれた理由」(2018年9月1日).「ダーウィン空間」を行ったり来たりする物語.

『文系と理系はなぜ分かれたのか』

隠岐さや香
(2018年8月24日刊行,星海社星海社新書・137],東京, 253 pp., 本体価格980円, ISBN:9784065123843版元ページ

参考:Togetter -「文系と理系はなぜ分かれたのか」.

【目次】

はじめに 3

第1章 文系と理系はいつどのように分かれたか?—— 欧米諸国の場合 15

 中世の大学と学問観 16
 「理系」の黎明期とアカデミーの誕生、そして衰退(一七〜一八世紀末) 22
 「文系」成立前夜 —— 人文社会科学の黎明期(一六世紀末〜一九世紀前半) 35
 近代大学の成立と自然科学・人文社会科学の制度化(一九世紀以降) 51
 「二つの文化」はあるのか? 71

第2章 日本の近代化と文系・理系 79

 東アジアにおける学問体系 —— 「道」と「学」・「術」 80
 「蘭学」の経験と江戸時代日本 84
 「窮理」としての科学・技術 89
 「道」としての西洋 94
 「文」と「理」観の形成 —— 学問制度と官僚制度 97
 戦争の足音と苦悩する人文社会科学 102
 「科学技術立国」のままでよいのか 107

第3章 産業界と文系・理系 115

 文理選択と新卒学生の就活 116
 文系学部の大学教育は就活で評価されない? 118
 理系の「専門性」はどこまで企業で重視されるか? 121
 理工系博士と企業とのミスマッチ 123
 欧米企業と博士号取得者 126
 アカデミック・キャピタリズムと「文系不要」論争 129
 「儲かる理工系」思想の源泉 —— イノベーション政策1.0 134
 「儲かる理工系」の実現化 —— イノベーション政策2.0 137
 理工系博士の活躍できる国,できない国 142
 高学歴競争の過熱と不平等の拡大 —— イノベーション政策2.0の負の遺産 145
 イノベーション政策3.0と人文社会科学系 —— SDGsとSTEAM 149

第4章 ジェンダーと文系・理系 155

 日本は進路選択の男女差が大きい国である 156
 分野適性と性差、困難な問い 159
 知能テストや学力テストからみえてくること —— 数学と科学の場合 162
 「生まれつきの才能」イメージの危険性 167
 認知機能の性差とホルモン・脳・環境 171
 男性はどのように理工系に引き寄せられ,女性はどのようにそこから遠ざかるのか —— ジェンダー役割とステレオタイプ 176
 ジェンダーステレオタイプ(思い込み)と研究職の世界での差別 180
 ジェンダー格差はなぜ問題視されるのか 182
 男性と言語リテラシー問題? 187

第5章 研究の「学際化」と文系・理系 195

 文系・理系の区別は消えていくのか? 196
 学際化と教育 —— 文系・理系を区別した教育は古い? 197
 「リベラルアーツ教育」と教養への回帰 201
 研究の世界では何が起きているか —— 学際化と分類概念の動揺 204
 「学際化」と学問「統一」の欲望 207
 諸分野はどのように異なっているか —— 方法と分類 211
 社会科学の自然主義化 —— 試みと論争 221
 学際的分野と不確実性、政治性 226
 複数の文化アプローチ —— 集合知としての学問 234
 変容する科学とその行方 237

おわりに 246

『Histoire de la génétique et de l'evolutionnisme en France』

Denis Buican
1984年刊行, Presses Universitaires de France[Histoires], Paris, 421 pp., ISBN:2130382770 [pbk])

2003年4月26日に駿河台下の崇文荘書店で入手.購入価格4,000円.当時の日録から:

  • もう1冊のビュイカンは,フランスにおける20世紀の遺伝学・進化学の歴史書.やっぱりネオ・ラマルキズムの威力は大きかったんやねえ.
  • 驚きだったのは,ジョルジュ・テシエがフランス進化学で果たした役割.テシエといえば相対生長の研究しか知らなかったのだが,本書の第7章全体はテシエがフランスの集団遺伝学の旗頭であったと述べています.フィリップ・レリティエとともに数々のショウジョウバエ研究をしていたとはぜんぜん知らなかった.マイヤ&プロヴァインの『The Evolutionary Synthesis』(1980,Harvard UP)からは見えてこなかった内容.

『Malebranche et Leibniz: Relations personnelles, présentées avec les textes completes des auteurs et de leurs correspondants revus, corrigés et inédits』

André Robinet
(1955年8月刊行, Librairie Philosophique J. Vrin[Bibliotheque des Textes Philosophique], Paris, 525 pp.)

2003年4月26日に駿河台下の崇文荘書店で入手.購入価格7,000円.当時の日録にはこう書かれている:

  • マルブランシュはクララ・ピント-コレイアの新刊『イヴの卵』(白揚社)を読んで以来,気になっていた思想家.若い頃からデカルトに心酔し,アンチ・デカルトを標榜した鬼才ライプニッツと論争を続けたという.未來社工作舎の「ライプニッツ全集」も気になるけど,色目を使ったらダイレクトに破産ですな.
  • ピント-コレイアの本には,マルブランシュが「前成説」の提唱者と書かれてあったけど,17世紀当時の概念世界は気になる気になる気になる.
  • マルブランシュとライプニッツの書簡を集成したロビネのこの本は,いわゆるフランス装でページの端が切られていない.ペーパーナイフで切り開きながらひもとくというのは初めての経験になるか....

工作舎ライプニッツ全集はこのほどやっと完結したとのこと.

『現代思想2018年9月号』

(2018年9月1日刊行,青土社,東京, 本体価格1,400円, ISBN:9784791713691版元ページ

【特集〈考古学の思想〉目次】

討議 I

考古学と哲学(溝口孝司+國分功一郎佐藤啓介) 8-33

エッセイ

模倣するサピエンス(港千尋) 34-40

討議 II

生きられた世界を復元できるか(中沢新一+山極寿一) 41-64

概論

考古学は/で何をするのか(溝口孝司) 65-80

考古学のフロント

強制移動と非正規移動の考古学(Y・ハミラキス/村橋勲+古川不可知訳) 81-100
鉛筆で紙に線を引く――考古学的痕跡(五十嵐彰) 101-113
過去を資源化する考古学の現在――政治、環境、芸術(吉田泰幸) 114-123
書かれた世界とその外部――江戸時代の「考古学者」たち(内田好昭) 124-135
近現代戦争記念碑の考古学――滋賀県の諸事例を中心にして(辻川哲朗) 136-149

考古学の方法

物質論的人文知(ヒューマニティーズ)としての「野生の考古学」――同時代への退行的発掘のために(田中純) 150-159
過去を復元する――その推論の理念と手法は学問の壁をまたぐ(三中信宏) 160-169

人類史の更新

モノとヒトが織りなす技術の人類誌/史――考古学の可能性をめぐる民族誌フィールドからの応答(大西秀之) 170-180
純粋な贈与はどこにあるのか、なぜあるのか?――Bataille からBaumard へ(柳澤田実) 182-193

現代思想との交差

考古学者が読んだハイデガー――考古学者はそこに何を発掘したのか?(佐藤啓介) 194-204

『系統樹思考の世界:すべてはツリーとともに』反響(続50)

三中信宏

(2006年7月20日第1刷刊行|2006年8月4日第2刷刊行(正誤表)|2009年12月18日第3刷刊行(正誤表)|2010年5月10日第4刷刊行(正誤表)|2011年10月7日第5刷刊行(正誤表)|2013年6月28日電子本刊行|2015年4月14日第6刷刊行,講談社[現代新書1849], ISBN:4061498495ISBN:9784061498495) → 版元ページ詳細目次反響録コンパニオンサイト

猛暑になったり秋風が吹いたり:

ブクログ・prigt23さんのレビュー

系統樹思考の世界 (講談社現代新書)」(2018年8月27日)

※「読んだけど、それで理解できたわけではないし、とても面白いというわけでもないけど、「この本を理解したい」「面白いと思えるようになりたい」って感じの本」.

以上,2018年8月27日.

『ベオグラード日誌』

山崎佳代子
(2014年3月30日刊行,書肆山田[りぶるどるしおる・78],東京, 229 pp., 本体価格2,600円, ISBN:9684879958945 版元ページ

すでに読んだ:山崎佳代子『パンと野いちご:戦下のセルビア、食物の記憶』(2018年5月1日刊行,勁草書房,東京, 2 color plates + x + 307 pp., 本体価格3,200円, ISBN:9784326851942版元ページ)の流れをさかのぼって,この本にたどり着いた.

『意識の川をゆく:脳神経科医が探る「心」の起源』

オリヴァー・サックス[大田直子訳]
(2018年8月15日刊行,早川書房,東京, 238 pp., 本体価格2,100円, ISBN:9784152097842版元ページ

オリヴァー・サックスと言えば「脳」や「心」をテーマにした本や作品が連想されるが,ワタクシ的にはもっとマニアックな “シダ・ハンター” としての紀行文:オリヴァー・サックス[林雅代訳]『オアハカ日誌:メキシコに広がるシダの楽園』(2004年2月29日刊行,早川書房ナショナル・ジオグラフィックディレクションズ],東京, ISBN:4152085479)が強く印象に刻まれている.