『漢字字形史小字典』目次

落合淳思
(2019年3月31日刊行,東方書店,東京, 32+493+33 pp., 本体価格6,000円, ISBN:9784497219121版元ページ

落合淳思『漢字の字形:甲骨文字から篆書、楷書へ』(2019年3月25日刊行,中央公論新社中公新書・2534],東京, viii+207 pp., ISBN:9784121025340読売新聞書評目次版元ページ)とほぼ同時に出版された.対象漢字は小学1〜3年の教育漢字で計574字.中公新書と同じく,本書でも漢字の字形に関する系統樹ダイアグラム(「字形表」)が使われている.

【目次】
はじめに 3

概論

 1. 漢字の歴史 5
 2. 漢字の成り立ちと字形変化 12
 3. 先行研究とその問題点 19
 4. 字典の凡例 26

本文

 人体に関係する部首の文字 2
 自然に関係する部首の文字 157
 動植物に関係する部首の文字 232
 人工の道具に関係する部首の文字 303
 建築・土木に関係する部首の文字 395
 幾何学的符号の部首の文字 467

付録

 1. 本書の部首・文字一覧 [2-6]
 2. 画数索引 [7-12]
 3. 音読み索引 [13-21]
 4. 教育年次別漢字表 [22-25]
 5. 各研究者の上古音分類 [26-30]
 6. 参考文献 [31-33]

『〈日本語の焦点〉日本語「標準形」の歴史:話し言葉・書き言葉・表記』目次

野村剛史
(2019年6月10日刊行,講談社講談社選書メチエ・704],東京, 269 pp., 本体価格1,850円, ISBN:9784065163856版元ページ

これまたいただきもの.明治以降の「標準語」よりももっとさかのぼる「標準形【スタンダード】」についての本.

【目次】
はじめに 3

第I章 話し言葉のスタンダード 13

I-1 話し言葉と書き言葉、方言と中央語 14
I-2 中央語からスタンダードへ 19
I-3 スタンダードの楕円化 31
I-4 明治維新 41
I-5 「標準語」 56

第II章 書き言葉のスタンダード 63

II-1 近現代口語体 69
II-2 普通文 95
II-3 近世標準文語文 116
II-4 中世書き言葉スタンダード 131
II-5 漢文、漢文訓読、漢文訓読体(漢文訓読調)、変体漢文、和漢混淆文、記録体、仮名文、和文 157

第III章 表記のスタンダード 167

III-1 表記法大概 168
III-2 片仮名の使用 173
III-3 音韻と仮名 196
III-4 仮名遣い 210
III-5 近代仮名遣い問題 230
III-6 活字印刷 251

 

注 266

『二つの文化と科学革命[新装版]』目次

C・P・スノー[松井巻之助訳]
(2011年11月10日刊行,みすず書房[《始まりの本》],東京, 本体価格2,800円, ISBN:9784622083429版元ページ

書評参考本なので速攻で読了.時代も環境も異なる論争の意味を探るには過度の “浅読み” や “深読み” を回避しつつ適切に解読する困難がつきまとう.

【目次】

I 二つの文化と科学革命(1959年リード講演) 1

1 二つの文化 2
2 生まれながらのラダイドとしての知識人 23
3 科学革命 29
4 富めるものと貧しいもの 41

II その後の考察(1963年) 61

 

解説(ステファン・コリーニ[増田珠子訳]、1993年) 119

歴史的に見た「二つの文化」 123
スノーの生涯 130
「二つの文化」という考えの発展 135
反応と論争 143
変わりゆく学問分野の地図 157
専門化 169
変わりゆく世界のなかでの「二つの文化」 175

 

さらなる読書のために 193
人名索引 [i-iv]

『地中海の十字路=シチリアの歴史』目次

藤澤房俊
(2019年6月10日刊行,講談社講談社選書メチエ・703],東京, 261 pp., 本体価格1,750円, ISBN:9784065163283版元ページ

ご恵贈ありがとうございます.トリナクリア!

【目次】
序章 シチリア島から世界史をみる 7
第1章 地中海世界と神々の島 17
第2章 イスラームの支配と王国の栄光 55
第3章 長くて、深い眠り 119
第4章 独立国家の熱望と失望 163
第5章 ファシズム独立運動 195
終章  「シチリア人」の自画像 233

 

あとがき 244
参考文献 246
関連年表 252
シチリア王の系譜 [257-253]
索引 [261-258]

『測りすぎ:なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?』書評

ジェリー・Z・ミュラー[松本裕訳]
(2019年4月16日刊行,みすず書房,東京, xiv+189+22 pp., 本体価格3,000円, ISBN:9784622087939目次版元ページ

現代社会に蔓延する「業績評価」への過度のこだわり( “測定執着” )がいかに害毒を撒き散らしているかを具体的に糾弾する.うっかり油断するといつでも誰でも重篤な “測定執着” の餌食になってしまう.その結果,「一番簡単に測定できるものしか測定しない」,「標準化によって情報の質を落とす」,そして「不正行為」をもたらす(pp. 24-26)など,その悪影響は果てしない.

会計財務主導の「管理主義」にとって「一番の公理は「測定できないものは,管理できない」だ」.この信念が「標準化された,数値化されたデータ」を要求する(p. 37)という指摘は今の日本に広まっている空気そのものではないか.「測定は判断の代わりにはならない.測定は判断を要するものだ」(p. 179)—— 本書の末尾には “測りすぎない” ための「チェックリスト」十箇条(pp. 180-186)がまとめられている.これは役に立つ.

本書を最初に手にとったとき,カバージャケットは方眼紙みたいな地味なデザインだし,『測りすぎ』という書名自体もいまひとつインパクトに欠けるように感じた.しかし,中身のないうわべだけ人受けするキャッチコピーに踊らされる現代社会の愚をするどく指摘する本書には実にふさわしい装丁だと読了後やっと気がついた.みすず書房おそるべし.

『科学と表象:「病原菌」 の歴史』目次

田中祐理子
(2013年3月31日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, vi+271+53 pp., 本体価格5,400円, ISBN:9784815807276版元ページ

【目次】
凡例 vi

序章 細菌学の歴史と細菌学の知覚 1


I 本書の対象について —— 「病原菌」 と細菌学の歴史 2
II 実在と認識の問題系 —— 「細菌は外在するか」 13
III 四人の 「父」 たち —— 本書の構成と論点について 35

第 I 部 前史とされたもの

第1章 フラカストロと伝染する病いのたね —— 「感覚できない極小の粒子」 を見ること 41

I 「千里眼者」 43
II 「感覚できない極小の粒子」 61
III フラカストロの 「孤立」 について 78

第2章 レーウェンフックとアニマルキュール —— 「微生物との最初の接触」 87

I 失われていた 「微生物学の父」 93
II アニマルキュール 102
III 視覚の優位と言葉の不在—— レーウェンフックにおける微生物との 「直接接触」 について 124

第 II 部 細菌学という制度的知覚の誕生

第3章 パストゥールと胚種 —— 微生物学の誕生 133

I 文脈 —— 二つの否定 135
II パストゥールの 「パストゥール化」 —— その諸条件と運動 158

第4章 コッホと細菌学的方法 —— 対象の完成と歴史の始まり 203

I 他者としてのコッホ 204
II コッホの科学 —— 「病原菌」 の制度的知覚 230

終章 251

 

あとがき 265
註 [17-53]
引用・参考文献一覧 [6-16]
索引 [1-5]

『生命科学の実験デザイン[第4版]』目次

G・D・ラクストン,N・コルグレイヴ[麻生一枝・南條郁子訳]
(2019年6月15日刊行,名古屋大学出版会,名古屋, xii+304 pp., 本体価格3,600円, ISBN:9784815809508版元ページ

うわ,いきなりピンポイントで刺さりまくる「実験計画法」の新刊が出た.無作為化・偽反復・検出力など全部載ってる.著者は進化学・生態学のプロ.これはオモテの仕事での必読本になりそう.これも名古屋大学出版会だっ.

【目次】
はじめに i
第4版の謝辞 v

第1章 デザインはなぜ大切か 1

 1.1 実験デザインはなぜ必要か 1
 1.2 貧弱なデザインの害悪 4
 1.3 実験デザインと統計解析法の関係 6
 1.4 良い実験デザインはなぜ特に生命科学者にとって重要なのか 8
 1.5 被験体、実験単位、サンプル、そして専門用語 13
 まとめ 17

第2章 仮説を明確にする 19

 2.1 なぜ研究の焦点を定めるのか —— 問い、仮説、予測 20
 2.2 最強の証拠で仮説を検証する 30
 2.3 対照群 35
 2.4 予備研究と予備データの重要性 44
 まとめ 49

第3章 デザインの大枠を選ぶ 51

 3.1 実験操作か、それとも自然のばらつきか 51
 3.2 野外か、それとも実験室か 64
 3.3 生体内か、それとも生体外か 67
 3.4 完璧な研究はない 68
 まとめ 70

第4章 個体間のばらつき、反復、サンプリング 71

 4.1 個体間のばらつきと実験デザインの基本原理 71
 4.2 反復 73
 4.3 サンプルを選ぶ 86
 まとめ 100

第5章 偽反復 103

 5.1 独立とはどういうことか、偽反復とは何か 104
 5.2 偽反復のよくある原因 107
 5.3 非独立性に対処する 114
 5.4 実際問題として反復ができなかったら 118
 5.5 偽反復、第三の変数、交絡変数 119
 5.6 コホート効果、交絡変数、横断的研究 121
 まとめ

第6章 サンプルサイズ、検出力、効果的なデザイン 125

 6.1 適切な数の反復体を選ぶ 126
 6.2 実験の検出力に影響をあたえる要因 129
 6.3 計画している研究の検出力を知る 131
 6.4 研究の検出力を上げる 139
 6.5 いくつかの異なる実験計画の検出力を比較する 149
 まとめ 153

第7章 最もシンプルな実験デザイン —— 1因子完全ランダム化デザイン 155

 7.1 1因子完全ランダム化デザイン 156
 7.2 ランダム化 157
 7.3 因子のレベルが2を超える場合 164
 7.4 完全ランダム化実験の長所と短所 165
 まとめ 167

第8章 複数の因子をもつ実験 —— 複因子デザイン 169

 8.1 因子が2つ以上のランダム化デザイン 169
 8.2 相互作用 171
 8.3 レベルと因子の混同 180
 8.4 分割プロットデザイン(または分割ユニットデザイン) 182
 8.5 ラテン方格デザイン 186
 8.6 統計法について考える 189
 まとめ 192

第9章 完全ランダム化を超えて —— ブロックと共変数 195

 9.1 特定の変数でブロックを作るという考え方 196
 9.2 個体のもつ特徴や、空間や、空間でブロックを作る 199
 9.3 ブロック化の長所と短所 203
 9.4 ペアデザイン 204
 9.5 ブロックの大きさをどう選ぶか 205
 9.6 共変数 206
 9.7 共変数と因子の間の相互作用 210
 まとめ 213

第10章 被験体内デザイン 215

 10.1 被験体内デザインとは何か 216
 10.2 被験体内デザインの長所 216
 10.3 被験体内デザインの短所 217
 10.4 同一個体をくり返し測定するのは、偽反復ではないのか 223
 10.5 いくつかの処理を含む被験体内実験は時間がかかる 224
 10.6 どういう処理列を使うべきか 225
 10.7 被験体内デザインとランダム化ブロックデザイン 226
 10.8 被験体内効果と被験体間効果が混ざった実験のデザイン 227
 まとめ 229

第11章 測定 —— 良質なデータをとるために 231

 11.1 較正 —— 計器のチェックと調整 232
 11.2 正確度と精度 234
 11.3 感度と特異度 242
 11.4 観察者内変動 247
 11.5 観察者間変動 253
 11.6 どう測定するかを決める 255
 11.7 データ記録の落とし穴 267
 まとめ 271

 

 セルフチェック問題の解答例 273
 実験デザインのフローチャート 285
 参考文献 290
 訳者あとがき 297
 索引 301

『「二つの文化」論争:戦後英国の科学・文学・文化政策』目次

ガイ・オルトラーノ[増田珠子訳]
(2019年6月10日刊行,みすず書房,東京, x+289+100 pp., 本体価格6,200円, ISBN:9784622088011版元ページ

C・P・スノーとF・R・リーヴィスの「理系 vs 文系」論客が衝突した1960年前後の社会的背景を探った本.

【目次】
謝辞 vii
はじめに 1
1 C・P・スノーと技術家主義のリベラリズム 27
2 F・R・リーヴィスと急進主義のリベラリズム 69
3 二つのカレッジの物語 109
4 英国社会史の形成 154
5 国家「衰退」の高まり 177
6 ポスト植民地主義の進展 215
7 能力主義期の衰微 242
おわりに 281

 

訳者あとがき 286
原注 [32-100]
参考文献 [6-31]
索引 [1-5]

『Two Cultures?: The Significance of C. P. Snow —— Being the Richmond Lecture, 1962』目次

F. R. Leavis
(1962年刊行, Chatto & Windus, London, 45 pp.)

スノーの積年の “論敵” となったリーヴィスの1962年リッチモンド講演録『二つの文化?』はこれまた50ページもない薄汚れたペーパーバックの冊子だ.同じ古書店でスノーの本の隣りに置かれていたので,よく考えずに買った記憶がある.今回,スノー本:C. P. Snow『The Two Cultures and the Scientific Revolution —— The Rede Lecture 1959/』(1959年刊行[1961年第7刷], Cambridge University Press, New York, iv+58 pp.)の隣りから仲良く “出土” した.

【目次】
Prefatory Note 5
Two Cultures?: The Significance of C. P. Snow 7
Sir Charles Snow's Rede Lecture [Michael Yudkin] 31

『The Two Cultures and the Scientific Revolution —— The Rede Lecture 1959』目次

C. P. Snow
(1959年刊行[1961年第7刷], Cambridge University Press, New York, iv+58 pp.)

スノーの1959年リード講演録『二つの文化』といえば “理系” と “文系” を二極対置して論じたとても有名な古典だ.この原書は,昔々,駒場東大下の古書店でゲットしたもの.たった60ページの小冊子だが,ちゃんとハードカバー装丁されている.あまりに薄っぺらい本なので,“森” のどこに埋もれてかぜんぜんわからなかったのだが,決死の捜索の末こうして発見されたのは幸いだった.この本の日本語訳はいったいどこにお隠れになったんだろう.どこか別のところに埋まっているのかもしれないが,今回の発掘作業では発見できなかった.この機会だからみすず書房の新装版を買うことにしようか:チャールズ・P・スノー[松井巻之助訳]『二つの文化と科学革命[新装版]』(2011年11月10日刊行,みすず書房,東京, 本体価格2,800円, ISBN:9784622083429版元ページ).

【目次】
I. The Two Cultures 1
II. Intellectuals as Natural Luddites 23
III. The Scientific Revolution 30
IV. The Rich and the Poor 43
Notes 55