『百花譜(上・下)』

木下杢太郎

(1979年3月19日刊行,岩波書店,東京,上巻:xvi, pp. 1-432/下巻:pp. 433-872, 5, ISBN なし[予約出版])

木下杢太郎が最晩年に遺した872葉に及ぶ植物画の復刻.1943〜1945年という太平洋戦争末期に病床でスケッチしたものだそうだ.前川文夫が描かれた植物を同定し,本書の前書きでその経緯を記している.この『百花譜』の「文」の方は日記として別にある(この図版集のあとに出た「著作集」に載っている).それにしても,病を得た作家や芸術家たちが人生の最後に「絵筆をとる」というのは何かしら理由や動機があることなのだろうか.木下杢太郎も,福永武彦も,武満徹も.