『人類堆肥化計画』感想

東千茅
(2020年10月30日刊行,創元社,大阪, 253 pp., 本体価格1,700円, ISBN:978-4-422-39004-8版元ページ

「腐敗」とか「発酵」という語の出現率がきわめて高いので,これはもうワタクシが読むしかない本だった.読了.半ば自伝的,半ば檄文的に書き進めるアクティビストの文章には得も言われぬ勢いがある.里山を舞台に人間と動植物が密接に入り乱れる “マルチスピーシーズ自然観” を地べたで味わえる本.同じような読後感はアナ・チン[赤嶺淳訳]『マツタケ:不確定な時代を生きる術』(2019年9月17日刊行,みすず書房,東京, xiv+441+xxiv pp., 本体価格4,500円, ISBN:978-4-622-08831-8読売新聞書評目次版元ページ).を読んだときにも味わった.人間と他の生きものの “共依存” 的な幸福と不幸の混じり合い.ワタクシ個人的には観音台で歌い継がれてきた伝統歌謡〈つちのうえ〉が無意識のうちに BGM として脳内に響いていた.生きても死んでも「つちのうえ」.