『イメージ学の現在:ヴァールブルクから神経系イメージ学へ』目次

坂本泰宏・田中純・竹峰義和(編)
(2019年4月26日刊行,東京大学出版会,東京, iv+542+xv pp., 本体価格8,400円, ISBN:9784130101400版元ページ

「イメージ学(Bildwissenschaft)」とか「ホルスト・ブレーデカンプ」とか「ムネモシュネ・アトラス」とか “魔性の言葉” が充満.

【目次】
序(田中純) 1

第1部 アビ・ヴァールブルクからイメージ学へ

第1章 アビ・ヴァールブルクにおける歴史経験――イメージ学と歴史理論の接点をめぐって(田中純) 9
第2章 「精神的同化」,「無意識的記憶」,アビ・ヴァールブルク『ムネモシュネ・アトラス』(ジョヴァンナ・タージャ/訳:田邉恵子) 31
第3章 記憶の体制とイメージの寄生――ヴァールブルクの動物園探訪(カール・クラウスベルク/訳:濱中春) 47
[インタビュー]形成することは思考すること,思考することは形成すること(談:ホルスト・ブレーデカンプ/聞き手:フェリックス・イェーガー,坂本泰宏/訳:坂本泰宏) 79

第2部 「行為主体(エージェンシー)」としてのイメージ

第4章 点になること――ヴァイマル時代のクラカウアーの身体表象(竹峰義和) 113
第5章 不実なる痕跡――原寸大写真の歴史(橋本一径) 129
第6章 「アニメイメージング」と身体表現――CGアニメにおける「不気味なもの」の機能(石岡良治) 149
第7章 君主の補綴的身体――一六世紀における甲冑・解剖学・芸術(フェリックス・イェーガー/訳:岡田温司) 175
第8章 転倒の芸術(ホルスト・ブレーデカンプ/訳:岸本督司・福間加代子) 197

第3部 イメージ知と形式

第9章 太陽の下に新しきものなし――グラフィカルユーザーインターフェイスへの美術史的アプローチ(マルガレーテ・パチケ/訳:難波阿丹) 231
第10章 メディウムを混ぜかえす――映画理論から見たロザリンド・クラウスの「ポストメディウム」概念(門林岳史) 251
第11章 道・無框性・滲み――美術における「日本的なもの」をめぐる省察稲賀繁美) 279
第12章 ゆがみの政治学――マニエリスムとメランコリーの肖像(フェリックス・イェーガー/訳:白井史人) 297

第4部 イメージと自然

第13章 視覚化と認識のあいだ――リヒテンベルク図形と科学のイメージ研究の射程(濱中春) 325
第14章 「ある地域の全体的印象」――アレクサンダー・フォン・フンボルトによる気象の総観的視覚化(ビルギット・シュナイダー/訳:竹峰義和・長谷川晴生) 343
第15章 イメージと自然との共生――ネオ・マニエリスムにむけて考える(ホルスト・ブレーデカンプ/訳:清水一浩) 367

第5部 神経系イメージ学

第16章 神経美学の〈前形態〉(カール・クラウスベルク/訳:濱中春) 411
第17章 言語と文学の経験美学――旧来の文学研究よりうまく処理できること,そしてできないことは何か?(ヴィンフリート・メニングハウス/訳:伊藤秀一) 433
第18章 神経美学の功績――神経美学はニューロトラッシュか(石津智大) 455
第19章 一瞬の認識力――ホグレーベの場景視と一望の伝統(ホルスト・ブレーデカンプ/訳:茅野大樹) 479
第20章 イメージの内在――像と知覚の弁証法(坂本泰宏) 501

 

初出一覧 537
あとがき(坂本泰宏) 539
書名・作品名索引 [xii-xv]
人名索引 [iv-xi]
編者・執筆者紹介 [i-iii]

『獣医学を学ぶ君たちへ:人と動物の健康を守る』目次

中山裕之
(2019年5月15日刊行,東京大学出版会,東京, viii+152 pp., 本体価格2,800円, ISBN:9784130720663版元ページ

【目次】
はじめに i

 

第I部 獣医学とはなにか 1

第1章 獣医師という仕事 3
第2章 獣医師への道 17

第II部 獣医学の現場から 27

第3章 ラクダとアルゼンチン 29
第4章 顕微鏡下の世界 40
第5章 動物の腫瘍 51
第6章 数字で表す病気 64
第7章 動物の認知症 73
第8章 病気の進化 90
第9章 老化の進化 101

第III部 大学の獣医学――来しかた行くすえ 117

第10章 獣医病理学研究室の午後 119
第11章 獣医学の意義と将来 130

 

おわりに 141
さらに学びたい人へ 145
索引 151

『20世紀ロシア文化全史:政治と芸術の十字路で』目次

ソロモン・ヴォルコフ[今村朗訳]
(2019年4月30日刊行,河出書房新社,東京, 371+xxxiv pp., 本体価格5,500円, ISBN:9784309248998版元ページ

ソロモン・ヴォルコフといえば,かつて著書『ショスタコーヴィチの証言』の真贋問題で物議を醸した音楽学者だった.

【目次】
序 7

 

第1部 嵐迫る

第1章 巨星墜つ 15
第2章『春の祭典』の炸裂 40

第2部 激動の時代

第3章 革命とロシア・アヴァンギャルド 75
第4章 詩人たちの悲劇 92
第5章 独裁者と作家 110
第6章 大テロル襲来 130

第3部 スターリンとのランデブー

第7章 社会主義リアリズムの魔術 153
第8章 苦行者たち 174
第9章 鎮魂歌 188

第4部 雪どけと再凍結

第10章 1956年の子供たち 209
第11章 ノーベル賞を辞退 229
第12章 『収容所群島』 251

第5部 変化の時代

第13章 非ソビエトという選択 271
第14章 非公式芸術を救え! 291
第15章 再び岐路に立つ 315

 

訳者あとがき 355
解説 響き渡る魔法のコーラス[沼野充義] 361
原注 [xviii-xxxiv]
人名索引 [i-xvii]

『漢字の字形:甲骨文字から篆書、楷書へ』読売新聞書評

落合淳思
(2019年3月25日刊行,中央公論新社中公新書・2534],東京, viii+207 pp., ISBN:9784121025340目次版元ページ

読売新聞大評が公開されました:三中信宏進化する漢字の系譜 —— 漢字の字形…落合淳思著 中公新書 800円」(2019年5月19日).



進化する漢字の系譜

 世界中には数千もの言語があり、それらを書き記す文字システムにもまたアルファベットや漢字仮名やハングルをはじめとして数多くの種類がある。その中でも漢字という文字体系は、中国大陸から日本列島にかけての東アジア圏において、過去数千年にわたって途絶えることなく用いられてきたという点で他に類を見ない。本書はこの漢字がたどった変遷の歴史を独自の系統樹ダイアグラム(「字形表」)を用いて具体的にわかりやすく解説した本だ。

 古代中国での漢字のルーツは、四千年前の殷の時代に遡る。当時用いられていた甲骨文字は現実世界の事物を亀甲や骨に刻んだ象形文字だった。この祖先的な甲骨文字は、三千年前の西周の金文やそれに続く東周の簡牘文字を経て、秦の篆書から漢の隷書へ、そして現代の楷書へと字形と字体を大きく変容させた。

 本書の大きな魅力は、漢字のもつ“ヴィジュアル性”を著者が最大限に引き出している点にある。いにしえの漢字を現代の紙面にリアルによみがえらせるため、祖先漢字フォントをわざわざ新規製作した著者のいれこみようはただごとではない。本書の百あまりの字形表は、それぞれの漢字がたどってきた幾千年にも及ぶ錯綜した道のりをみごとに可視化している。

 ルーツ探しには万人を惹きつける魅力がある。他方、漢字の系統推定の探究にはまだまだ未開拓の問題が潜む。漢字の進化と生物の進化の間にはアナロジーが成立する。同じ祖先漢字から派生した複数の子孫漢字(「同源字」)は生物進化の言葉を借りれば「単系統群」と呼ばれる。また、ルーツは異なるにもかかわらず子孫の字形が類似する現象(「同化字」)は生物系統学的には「収斂現象」にほかならない。本書は、漢字の系統発生という観点に立ち、文字と生物を“進化”という共通の視点から考えることの意義を強くアピールしている点で、類書にない魅力に満ちている。

三中信宏[進化生物学者]読売新聞書評(2019年5月19日掲載|2019年5月27日公開)

『志度寺縁起絵:瀬戸内の寺を巡る愛と死と信仰と』

太田昌子(編著)
(2019年5月10日刊行,平凡社,東京, 315 pp.[CD-ROM付], 本体価格4,800円, ISBN:9784582295313版元ページ

平賀源内のふるさとである瀬戸内海沿岸の志度村(香川県さぬき市)に伝わる縁起絵.先日,高松に行ったとき偶然にも足を運んだという極私的因縁あり.

『亡命ハンガリー人列伝:脱出者・逃亡犯・難民で知るマジャール人の歴史』

木村香織
(2019年5月1日刊行,パブリブ[世界ディアスポラ列伝: Vol. 1],東京, 351 pp., 本体価格2,600円, ISBN:9784908468346版元ページ

マルクス・ジョルジュ『異星人伝説:20世紀を創ったハンガリー』(2001年12月,日本評論社)という本を手にしたことがあったな.

『A Natural History of Wine』目次

Ian Tattersall and Rob DeSalle
(2015年11月刊行, Yale University Press, New Haven, xii+252 pp., ISBN:9780300211023 [hbk] → 版元ページ

姉妹本の新刊:Rob DeSalle and Ian Tattersall『A Natural History of Beer』(2019年2月刊行, Yale University Press, New Haven, xii+242 pp., ISBN:9780300233674 [hbk] → 目次版元ページ)が┣┣" 放牧場でくつろいでいるので,ついでにゲット.こちらはカラーイラストがふんだんに載ってるじゃないか.

【目次】
Preface ix
1. Vinous Roots: Wine and People 1
2. Why We Drink Wine 23
3. Wine Is Stardust: Grapes and Chemistry 33
4. Grapes and Grapevines: An Issue of Identity 62
5. Yeatry Feasts: Wine and Microbes 91
6. Interactions: Ecology in the Vineyard and the Winery 101
7. The American Disease: The Bug That Almost Destroyed the Wine Industry 117
8. The Reign of Terroir: Wine and Place 132
9. Wine and the Senses 155
10. Voluntary Madness: The Physiological Effects of Wine 178
11. Brave New World: Wine and Technology 195
12. Franken-Vines and Climate Change 215

 

Annotated Bibliography 227
Index 239