『The Book Thieves: The Nazi Looting of Europe’s Libraries and the Race to Return a Literary Inheritance』

Anders Rydell[Translated by Henning Koch
(2017年刊行,Viking, New York, xvi+352 pp., ISBN:9780735221222 [hbk] → 版元ページ

アンデシュ・リデル[北條文緒・小林祐子訳]『ナチ 本の略奪』(2019年7月16日刊行,国書刊行会,東京, 431 pp., 本体価格3,200円, ISBN:9784336063212目次版元ページ)の原書.こっちのカバージャケットの方が生々しいな.

『本屋一代記 : 京都西川誠光堂』

松木貞夫
(1986年11月10日刊行,筑摩書房,東京, iv+374 pp., ISBN:4480853464版元ページ

明治なかばから第二次世界大戦中まで京都の丸太町新道にあった書店〈西川誠光堂〉の伝記. 同時代の京都から見た世相の移り変わりが描かれている.ワタクシでも知っている京都大学周りの有名人たちがときどき登場する.実は,この本はワタクシの書棚にすでに並んでいた.すっかりその存在を忘れ去っていたが,北大正門横にある古書店〈南洋堂書店〉の値札が貼られていた.いったいいつ札幌で買ったのだろうか.

『古書のはなし:書誌学入門』

長澤規矩也
(1976年11月20日刊行,冨山房,東京, 8 plates + 196 + 6 pp., 書籍コード: 1000-000001-7313)

図版いっさいなしで装訂や印刷の論議が続くのはなかなかきついなあ.前所有者の蔵書印とコメントが表紙裏に.「この種の本が 面白く読める年に なった」とはとても味わい深い文言だ.

『日本のイネ品種考:木簡からDNAまで』読売新聞書評

佐藤洋一郎(編)
(2019年4月30日刊行,臨川書店,京都, 2 color plates + 260 pp., 本体価格4,500円, ISBN:9784653044147目次版元ページ

読売新聞小評が公開された:三中信宏日本のイネ品種考…佐藤洋一郎編



 日本人にとって「イネ」は日々の食生活の根幹となる作物である。本書は日本におけるさまざまなイネの品種がどのような歴史をたどってきたのかを考察する論集だ。

 イネが根から吸収した珪酸が石化した微細な「プラント・オパール」から日本を含む東アジアの稲作の歴史を復元するミクロ生物学的研究、千年以上も前の木簡に記されたイネの品種名を手がかりに祖先品種を特定する古文書学からのアプローチ、遺伝資源としてのイネ品種の多様性を解明する育種学の視点、そして現在広く作付けされているイネ品種の祖先を探索する遺伝学からの探究など、さまざまな視点からイネ品種の歴史が論じられている。

コシヒカリ」などよく目にする銘柄以外にも、色も形も香りも異なる多くのイネ品種が、飯米・酒米飼料米などさまざまな用途のために全国各地で栽培されてきた。最後の対談では、これらさまざまな品種のイネが日本の食文化の歴史と深く関わっていることが語られている。今まさに起動しようとしている和食文化学への序奏と位置づけられる。

三中信宏[進化生物学者]読売新聞書評(2019年7月21日掲載|2019年7月29日公開)

『恐竜まみれ:発掘現場は今日も命がけ』目次

小林快次
(2019年6月25日刊行,新潮社,東京, 4 color plates + 238 pp., 本体価格1,450円, ISBN:9784103525912版元ページ


【目次】
カラー口絵(4 pp.)
はじめに 1
第1章 恐竜学者と「化石コレクター」のはざまで 15
第2章 あれほど欲しかった化石が、いまは憎い 37
第3章 大発見は最終日の夕方に起きる 65
第4章 恐竜化石を「殺す」のは誰か 87
第5章 探検家ではなかったはずだが 103
第6章 世界遺産バッドランドへ乗り込む 127
第7章 危うく「ネイチャー」誌の掲載を断りかける 153
第8章 ついに出た、日本初の全身骨格 167
第9章 恐竜界50年の謎“恐ろしい腕”の正体は 197
第10章 「命を預けて」でも行きたい極地 217
おわりに 235

『恐竜の教科書:最新研究で読み解く進化の謎』

ダレン・ナイシュ,ポール・バレット[小林快次・久保田克博・千葉謙太郎・田中康平監訳|吉田三知世訳]
(2019年2月20日刊行,創元社,大阪,239 pp., 本体価格4,500円, ISBN:9784422430287版元ページ

とある依頼で恐竜にまみれる必要があり,その予行演習として本書を入手した.

『アルコールと酔っぱらいの地理学:秩序ある/なき空間を読み解く』目次

マーク・ジェイン,ジル・バレンタイン,サラ・L・ホロウェイ[杉山和明・二村太郎・荒又美陽・成瀬厚訳]
(2019年7月30日刊行,明石書店,東京, xvi+284 pp., 本体価格2,700円, ISBN:9784750348667版元ページ

グッドタイミングで着便.夏本番になり,来月はがんがん呑む機会が増えてくるだろうから,こういう役に立つ新刊をちゃんと読んで,うっかり油断して「binge drinker」にならないように気をつけましょうね>心当たりのあるみなみなさま.


【目次】
日本語版へのはしがき iii
謝辞 ix

序章 酒・飲酒・酩酊の地理 1

 アルコール研究と地理学的アプローチ 3
 地理学と酒・飲酒・酩酊 10
 秩序ある/なき空間を読み解く 17

第1章 都市 23

 「飲酒の害悪」と近代都市 24
 ビンジ・シティ? 酒・飲酒・酩酊と現代の都市生活 34
 おわりに 53

第2章 田園 55

 田園における飲酒の理論化 56
 田園におけるアルコールと若者 64
 おわりに 75

第3章 ホーム 81

 ホームの欠如――イギリスにおける飲酒の地図を描く 81
 家庭内の飲酒実践、社会的意味、社会的差異 86
 おわりに 107

第4章 ジェンダー 111

 男性性、女性性とアルコール消費 112
 ジェンダー化された飲酒パターン、場所、目的 119
 ジェンダー化された飲酒をめぐるさまざまな場面 122
 おわりに 133

第5章 エスニシティ 137

 禁欲というムスリムの文化 138
 不在の存在――パキスタンムスリム・コミュニティにおけるアルコール 144
 夜間経済――出会いと社会結合へのインパクト 153
 おわりに 160

第6章 世代 163

 私の世代――記憶のなかのアルコールに対する態度と消費 164
 飲酒実践における世代間の連続性と非連続性 177
 おわりに 193

第7章 感情と身体 199

 アルコール消費の感情と身体の地理 200
 記憶 205
 通過儀礼 210
 感情的会話 217
 おわりに 221

「もう一杯いかが?」――あとがき 223

 付録1 事例研究と研究デザイン 227
 付録2 ビンジ・ドリンキングの定義とアルコール量単位の解説 235
 付録3 イギリス政府による全国統計の社会経済的分類 238

「酔いに任せてもう一杯」――訳者あとがき 239

 文献一覧 [276-247]
 索引 [282-277]

『結局、ウナギは食べていいのか問題』目次

海部健三
(2019年7月18日刊行,岩波書店[岩波科学ライブラリー・286],東京, x+119+5 pp., 本体価格1,200円, ISBN:9784000296861版元ページ

ご恵贈感謝.時節柄とてもキャッチーなタイトル.


【目次】
はじめに iii
1 ウナギは絶滅するのか 1
2 土用の丑の日とウナギ――ウナギを食べるということ 17
3 ウナギと違法行為――密漁・密売・密輸 29
4 完全養殖ですべては解決するのか 49
5 ウナギがすくすく育つ環境とは 57
6 放流すればウナギが増えるのか 73
7 ワシントン条約はウナギを守れるか 87
8 消費者にできること 95

あとがき 115
参考文献と注 [1-5]