『ユリイカ2020年2月号:特集=書体の世界 ― 書・活字・フォント』目次

(2020年2月1日刊行,青土社ユリイカ 52巻2号],東京, 本体価格1,600円, ISBN:978-4-7917-0381-4版元ページ

ワタクシの寄稿:三中信宏「字体と書体と字形の系統樹:進化する文字世界を鳥瞰する」(pp. 156-164)


【〈特集=書体の世界 ― 書・活字・フォント〉目次】

❖インタビュー

書体談話 府川充男[聞き手=大熊肇] 40

❖書体設計者の営為

使いたくなる書体は誰が創ってくれるのだろう 味岡伸太郎 46
活字書体設計としての復刻、翻刻、そして新刻 今田欣一 51

❖書体史再考

明朝体活字の誕生と東遷 小宮山博史 57
活字文献学考 鈴木広光 66
近代日本語活字・書体史研究上の話題 内田明 ※注釈リンク集 74

❖写研の時代

「ナール」「ゴナ」あるいは大衆文化の中の文字――書体デザイナー 中村征宏と、元・写研(社長室企画宣伝部長)杏橋達磨に聞く 阿部卓也 86

❖誰がための書体――あるいは政治と信仰をめぐって

「UDフォント」の開発にあたって 高田裕美 108
書体・字体事件簿 松田行正 113
書体論のためのランダムノート――規範と自由、彫琢と装飾 古賀弘幸 122
妙好としての書体――柳宗悦真宗仮名 扉野良人 133

❖対談

文字のないタイポグラフィに向かって――未来を広げるためのデザイン 木緒なち・有馬トモユキ 141

❖アルファベットの遠近法

インターネットっぽさの所作 ばるぼら 152
字体と書体と字形の系統樹――進化する文字世界を鳥瞰する 三中信宏 156
「ネオ・グロット」とスイス・スタイルの受容――一九六〇年代日本におけるモダン・タイポグラフィの展開 山本政幸 165
欧文書体とそれ以外 大曲都市 178
書体の透明性 古賀稔章 186

❖アンケート

書体をめぐる三つの質問――趣味と実用と探求のアンケート 

有馬トモユキ,今垣知沙子,大倉真一郎,奥定泰之,小沼宏之,葛西薫カニエ・ナハ,川名潤,北岡誠吾,コバヤシタケシ ,坂野公一,佐藤亜沙美,重実生哉,白井敬尚,鈴木哲生,大日本タイポ組合高山羽根子,藤田重信,水戸部功,宗利淳一,山田和寛,山本浩貴+h,結崎剛 ,六月

❖Typogra-fiction

書体とその引用 フィクショナガシン 215
汎詩論、銀杏、ナイフ、苦役 尾中俊介 221
書体は人になにをもたらすか――文体論のためのメモランダム 山本貴光 230

❖書体の容器

模倣と創造――『ユリイカ』本文書体の変遷 正木香子 239
タイポグラファとしての小村雪岱 真田幸治 246
タイプフェイスと盆栽――自然と人工の往復運動 大山エンリコイサム 255
かたちとしるしの水際で――羽良多平吉のフォントロジー 澤直哉 264
装丁表現が書体表現にすり替わらないために 長田年伸 272

『ハウ・トゥー:バカバカしくて役に立たない暮らしの科学』

ランドール・マンロー[吉田三知世訳]
(2020年1月25日刊行,早川書房,東京, 400 pp., 本体価格1,600円, ISBN:978-4-15-209909-9版元ページ

ご恵贈ありがとうございます.前著:ランドール・マンロー[吉田三知世訳]『ホワット・イフ?──野球のボールを光速で投げたらどうなるか』(2015年6月25日刊行,早川書房,東京,383 pp., 本体価格1,500円, ISBN:978-4-15-209545-9版元ページ)の続編.

『ヴィジョン・イン・モーション』目次

ラースロー・モホイ=ナジ[井口壽乃訳]
(2019年12月25日刊行,国書刊行会,東京, 385 pp., 本体価格8,600円, ISBN:978-4-336-06370-0版元ページ

ラースロー・モホイ=ナジの主著の翻訳.ハンガリーアヴァンギャルドとかバウハウスとかとても魅惑的.訳者の井口壽乃の前著:井口壽乃『ハンガリーアヴァンギャルド:MAとモホイ=ナジ』(2000年12月5日刊行,彩流社,東京, ISBN:4-88202-684-8感想)を読んだのはもう20年近くも前のことだった.


【目次】
日本語版への序文[ハトゥラ・モホイ=ナジ] 3
はしがき 5
序論 10

I. 状況の分析 13

II. アプローチの新たな方法 —— 生活のためのデザイン 33

III. 新しい教育 —— 有機的アプローチ 63

 a )概略 63
 b )統合 — 諸芸術 113
  絵画 113
  写真 170
  彫刻 216
  「空間―時間」の諸問題 244
  映画 271
  文学 292
  グループ詩 353

IV. 提案 358

『ヴィジョン・イン・モーション』──モホイ ナジの教育活動と理論、日本への影響について[井口壽乃] 367
ラースロー・モホイ ナジ 略年譜 378
人名索引 377
事項索引 380

『発酵はおいしい!:イラストで読む世界の発酵食品』目次

ferment books・おのみさ
(2019年12月21日刊行,PIE International,東京, 195 pp., 本体価格2,400円, ISBN:978-4-7562-5112-1版元ページ

大手町にはどーいうわけだか「発酵本」がわらわらと送られてくる.「発酵の本よみうり堂」という定評があるからだろうか.


【目次】
Chapter0 発酵ってなんだろう? 4
Chapter1 世界の発酵食品 11
Chapter2 日本の発酵食品 65
Chapter3 麹はたからもの 119
Chapter4 発酵の仕事場拝見 129
Chapter5 発酵世界年表 147
Chapter6 つくろう!発酵食品と発酵料理 155
Chapter7 発酵ブックガイド 181

参考文献 188
索引 190

『昭和四十一年日本一周最果て鉄道旅 』目次

小川功
(2019年12月10日刊行,笠間書院,東京, viii+259 pp., 本体価格1,600円, ISBN:978-4-305-70898-4版元ページ

もちろん “鉄分” の多い人向け.


【目次】
カラー口絵(pp. i-viii)
はじめに 3

第1部 旅行記編 11

第1章 北への旅立ち(上野〜函館) 12
第2章 氷雪の道東を巡る(札幌〜名寄) 30
第3章 ひたすら極北の地を目指して(名寄〜稚内) 48
第4章 反転、一路日本海に沿って南へ(稚内〜大阪) 66
第5章 再会、最南端枕崎への旅(大阪〜枕崎) 92
第6章 陽光の南九州を巡る(鹿児島〜呉) 114
第7章 四国のテツロ巡礼で結願(松山〜大阪) 134

第2部 解説編 153

第1章 日本一周旅行の背景 154
第2章 日本一周旅行のその後 186

第3部 巡礼不参加仲間の懺悔録 225

あとがき 249
昭和40, 41年交通・観光関連年表 252
参考文献 257

『ベトナムの大地にゴングが響く』読売新聞書評

柳沢英輔

(2019年11月1日刊行,灯光舎,京都, x+311+6 pp., 本体価格2,700円, ISBN:978-4-909992-00-0 → 目次版元ページ著者サイト

読売新聞小評が掲載された:「ベトナムの大地にゴングが響く…柳沢英輔著」(2020年1月12日掲載|2020年1月20日公開)※ベトナムのゴングセットはトゥーランドット姫を呼び寄せる.



 ベトナム中部高原のゴング音楽文化に関する新刊。紀元前から継承されてきた金属打楽器のゴングは葬礼儀式など先住民族の歴史に深く根ざしている。さまざまな音程と形状をもつゴングセットの製造・流通から演奏様式まで、著者は現地調査を通じて明らかにする。さらに楽器としてのゴングの音響特性・演奏様式・チューニング技法に関する音楽学的な考察をリンク動画によって示した点は本書の大きな魅力だ。ベトナム古来のゴング音楽の息吹が文字と音源と映像の三つ巴で押し寄せてくる。

 西洋音楽では銅鑼やゴングが鳴り響くのは決まって「生と死」あるいは「聖と俗」の境界をまたぐときだ。もう十数年前のことだが、新宿区民オペラがプッチーニの歌劇「トゥーランドット」を上演したとき評者は木琴奏者として参加した。総譜には「中国ゴング」が楽器指定されていたが、実際には12個ひとそろいのベトナム製ゴングセットを用いた。いにしえの精霊が宿るとされるゴングのうなりは、生者と死者が行き交うこの歌劇の筋書きにぴったりの音響空間をかたちづくっていた。(灯光舎、2700円)

三中信宏[進化生物学者]読売新聞書評(2020年1月12日掲載|2020年1月20日公開)