〈J-STAGE / Journal@rchive〉説明会に参加して

3月13日(金)午後1時から,芝公園にある〈メルパルク東京〉5階の「瑞雲の間」で,JSTが推進している〈J-STAGE / Journal@rchive〉事業の説明会に,日本計量生物学会の代表として参加してきた.金ぴかのゴージャスなきらきら内装にくらくらしつつ,話を聞く.〈J-STAGE〉は学会誌のカレントナンバーに関する電子化事業であり,〈Journal@rchive〉はバックナンバーすべての電子化事業と位置づけられている.〈J-STAGE〉説明会には何年か前に別の学会の代表として参加したことがある.当時に比べれば作業がシステム化されていて,いくつかの条件をクリアしている学会にとっては,制度的に参画しやすくなっているように感じた.

ただし,説明の中でも強調されていたように,学会側が乗り越えなければならないハードルのいくつかはなお高いようだ.とくに,電子化する場合の「著作権処理」にからむすべての作業が各学会に委ねられているという点は,その事務作業量(学会会則に copyright transfer が明記されていない過去の著作権者を探索して了解を得ること;著作権者の探索をやりつくした上でなお不明であったばあいのリスク評価;文化庁長官の「複製権」と「公衆送信権」に関する裁定を得る場合の手間と金銭的負担など)を考えると,よほど事前に学会内の体制づくりを整えておかないとムリだろうと感じた.

というわけで,計量生物学会としては時期尚早かなという感触を得たのだが,今回の事業にアプライするしないに関係なく,以下の点を確認しておくことは学会として重要であるとの説明者の意見には同意できた:

  1. 学会の創立と沿革を確認すること.バックナンバーを電子化する〈Journal@rchive〉事業では,当該ジャーナルだけでなく,その「祖先」誌すべても電子化の対象になる,とくに歴史の長い大きな学会の場合,ジャーナルが“分岐的進化”を遂げていることがあり,祖先誌あるいは姉妹誌との“系統関係”の正確な究明は学会史をたどることから始まる.
  2. 著作権にからむ扱いを明確にすること.まず,著作権者が学会にあることを明記した会則がいつから発効したかの確認をすること.これにより,著作権者との交渉をどのように進めればよいかがちがってくる.
  3. 学会誌のコンプリート・セットをそろえておくこと.いざ電子化しようとしたとき,創刊号からすべての「紙」媒体としてのジャーナル1セットをJSTに手渡す必要がある.ところが,これがなかなかうまくいかなくて,どうしても欠号が出てきてしまうとのこと.

いずれももっともな指摘だろう.思い当たる学会関係者はきっと少なくないにちがいない.

なお,今回のJST説明会で配布された資料のひとつ:「参考文献の役割と書き方:科学技術情報流通技術基準(SIST)の活用」(2008年12月10日発行,JST)は参考になった.電子文献に関しては,「電子文献引用規格〈ISO 690-2〉」に準拠しているようだが,多少ちがいもある.この〈SIST〉がどれくらい普及しているのかは知らない(国内のみ?).