三中信宏
(2009年9月20日刊行,講談社[現代新書2014],本体価格800円(税込価格840円),328 pp.,ISBN:9784062880145 → コンパニオンサイト|版元ページ)
長めの前口上:物語の幕が上がる前に
1.トリヴィア,マルジナリア,あるいは記憶の痕跡
2.「種」と「分類」の世界へようこそ
【目次】
プロローグ:生まれしものは滅びゆく(二〇〇六年オアハカ,メキシコ) 9
第1章 「種」に交わればキリがない 21
1.日本最低の山と日本最短の川 22
2.リンネから三〇〇年−分類学はいま 26
3.分類するは人の常 32
4.開かれた難問=「種」の問題 35
第2章 「種」よ,人の望みの喜びよ 45
1.仲間はずれのカモノハシ君 46
2.あるものはある,ないものもある 50
3.問われない分類の存在論をあえて問う 55
4.そして形而上学の聖なる泥沼へ沈んでいく 60
第3章 老狐幽霊非怪物,清風明月是真怪 65
1.虚ろな空間が不安である理由 66
2.共時的な多様性と継時的な可変性 70
3.今日のワタシは昨日のワタシか 74
4.「心は妖怪の母と申してよろしい」 78
第4章 真なるものはつねに秘匿されている 83
1.秋深まる京都にてレトリックにめぐり合う 84
2.引導をわたす哲学者:メタファーと類似性の関係 86
3.秘匿されたメトニミーは何を見ているか 92
4.ヒトは心理的本質主義者である 96
第5章 いたるところリヴァイアサンあり 103
1.群として生きる 104
2.群として進化する 109
3.進化するものが「種」である 114
4.リヴァイアサン,あるいは超個体としての群はあるか 119
第6章 プリンキピア・タクソノミカ 123
1.ルーツとしての『プリンキピア・マテマティカ』 124
2.「種カテゴリー」をめぐる問題 129
3.「種タクソン」をめぐる問題 135
4.来たる時代の『プリンキピア・タクソノミカ』 140
インテルメッツォ:実在是表象,表象是実在(二〇〇七年ニューオーリンズ,アメリカ) 145
第7章 一度目は喜劇,二度目は茶番 161
1.過ぎ去った昔のことではなく 162
2.ルイセンコ論争と種概念 166
3.「種は現実に存在する単位である」 170
4.隠れた水脈と隠された知脈を求めて 176
第8章 つながるつながるつながるなかで 181
1.“見えざる手”に遠隔操作され 182
2.万物流転とイデアによる救済 186
3.種をめぐる「本質主義物語」 192
4.「わたしはわたしを見つけ出す」 196
第9章 ナボコフの“ブルース” 201
1.「種」は“システム”であってほしいか 202
2.「本質主義」的方法論の終焉 209
3.「蝶が私を選んだんだよ」 215
第10章 目覚めよ、すべての花よ 221
1.上野の森のダーウィン生誕二〇〇年祭 222
2.グレの入り江に『種の起源』が流れ着く 227
3.「神よ,御身は道を誤れり」 232
4.“古い分類学”で何が悪い 236
第11章 時空ワームの断片として 243
1.木を見て,森も見る 244
2.系譜はかぎりなく変化する 247
3.四次元空間の“時空ワーム” 250
4.「生命の樹」の断片として生きる 254
第12章 「種」よ,安らかに眠りたまえ 259
1.ゲッティンゲンの石畳を踏みしめて 260
2.パウルとフランツィスカの物語 263
3.ヒトは「種問題」とともに 269
4.「記載の科学」から「分類の科学」へ 274
5.コーダ —— 永遠なる「種」を慕って 279
エピローグ:滅びしものはよみがえる(二〇〇八年トゥクマン,アルゼンチン) 283
あとがき:「分類のための弁明」に代えて 297
私的ガイド付き文献リスト(現世で迷わないために) [325-306]
索引 [328-326]
初出一覧