『数値と客観性:科学と社会における信頼の獲得』

セオドア・M・ポーター[藤垣裕子訳]

(2013年9月20日発行,みすず書房,東京,316+lxxiv pp.,本体価格6,000円,ISBN:9784622077817版元ページ

索引中の「ピアソン Pearson, Egon」(p. vii)はすべて「Karl」のまちがい.統計学史の文脈で「Egon Pearson」が登場するのは,「Neyman-Pearson」の連名か,あるいは「Karl Pearson」の初期論文集の編者としてだけだろう.

それはともかくとして,「数学的統計学」(p. 41)とか「ランダム化(無作為抽出)」(p. 266)とか「直感的統計学者によって表象されはじめた」(p. 276)とか ― おい,大丈夫か,この翻訳.訳文で疑念がむらむら湧き上がってきたときの唯一の正しい対処法は原書を入手することに尽きる:Theodore M. Porter『Trust in Numbers: The Pursuit of Objectivity in Science and Public Life』(1996年刊行,Princeton University Press, Princeton, xiv+310 pp., ISBN:0691029083 [pbk] → 版元ページ).

—— 有害な翻訳は「見なかったふりをする」自由が読者にはあるはず.もちろん,有害な翻訳書を「あえて引用しない」自由もある.