『近畿地方のある場所について』感想

背筋
(2023年8月30日刊行,KADOKAWA,東京, 334 pp. + 袋綴じ取材資料[8 pp.],本体価格1,300円, ISBN:978-4-04-737584-0版元ページ

ひさしぶりに “新耳袋” のような本を高速読了して満足している.さまざまな情報の “断片” をつなぎあわせてある物語の “全体” を推測する愉しみを読者に味わわせてくれる本.怖いかと訊かれたらそれはもちろん怖い本だ.しかし,かつてのメディアファクトリー版『新耳袋[全10巻]』が,どれもこれもカバージャケットを剥いたらいきなり “出てきて” 思わずのけぞる心臓に悪い装丁デザインだったのに対して,本書はその点をちゃんと配慮してくれる.とりわけ,『近畿地方のある場所について』巻末のかなりヤバい取材資料をわざわざ「袋綴じ」にしてくれていて,これは良心的だとワタクシは感じた.とてもコワそうなのでまだ開封してませんが(ワタクシは小心者).こういう背筋がゾクゾクする本がお好きなアナタ,夜に通読すれば迫りくる恐怖感が満喫できるでしょう.どーぞ.