『東京の古本屋』感想

橋本倫史
(2021年10月10日刊行,本の雑誌社,東京, 16 color plates + 343 pp., 本体価格2,000円, ISBN:978-4-86011-462-6目次版元ページ

寝読み本読了.都内10軒の古書店に滞在取材.著者と取材先との “距離感” —間の取り方—が心地よく揺れる.ぐっとズームインしてすぐ隣りにいるかと思えば,すっとズームアウトして外側から見渡したり.このスタイルは,リトルプレス〈不忍界隈〉(2018)以降,本書の姉妹本である『ドライブイン探訪』(2019年1月,筑摩書房)や『市場界隈 —— 那覇市第一牧志市場界隈の人々』(2019年5月,本の雑誌社)を読んでも共通して感じる著者のキホンなのだろう.むしろ独特の “間合い” の取り方が読んでいて心地よいようにワタクシは感じた.しかも,ズームイン/アウトが滑らかなので,叙述のリアルさが際立つ.『ドライブイン探訪』はやや遠めでしたが,今回の新刊は『市場界隈』のような近さの “体温” が伝わってきくる.