『恐竜はなぜ鳥に進化したのか:絶滅も進化も酸素濃度が決めた』

ピーター・D・ウォード[垂水雄二訳]

(2008年2月15日刊行[近刊],文藝春秋ISBN:9784163699608



原書は:Peter D. Ward『Out of Thin Air: Dinosaurs, Birds, and Earth's Ancient Atmosphere』(2006年刊行,The National Academies Press [A Joseph Henry Press Book], ISBN:0309100615 [hbk] → 目次書評版元ページ).

一昨年の秋のことだが,文藝春秋からこの原書と別の本の“リーディング”を依頼され,通読して翻訳に値するかどうかのレポートを提出した.各章ごとの要約もすでに公開してある(→ 前半後半).地球上における酸素濃度の変遷に関する新たな知見に基づいて,地質時代ごとの酸素濃度に適応するように生物たちが進化してきたという仮説を提出している.「酸素と進化」というテーマを中核として,昆虫から恐竜そして鳥類にいたるまでのさまざまな生物の消長が,長期にわたって変動する酸素濃度との絶えざる進化的追跡劇がもたらしたという大胆な主張をする.

この原書をリーディングしたのち,本書の翻訳についても文藝春秋から依頼されたのだが,それだけの時間が取れそうになかったので,ぼくの代わりに垂水雄二さんを推薦した.うまく話がまとまって,今回の翻訳出版にいたったのはたいへんよかったと思う.

原書は必ずしも親切な記述を心がけたものではなかったが,今回出版される訳書では,訳注や図版などが追加されていて,読者への便宜がはかられている.また,大量の引用文献については,近日公開されるはずのコンパニオン・サイトに掲載されると訳者あとがきには書かれている.