『進化:分子・個体・生態系』

Nicholas H. Barton et al.[宮田隆・星山大介監訳]

(2009年12月9日刊行,メディカル・サイエンス・インターナショナル,東京,本体価格15,000円,ISBN:9784895926218

900ページ超.進化生物学教科書の翻訳新刊.コンパニオンサイトが版元に開設されるとのことだが,下時点ではまだ何もコンテンツがない.一方,原書のコンパニオンサイトは超充実している.その内容・分量・価格から見てこの『進化:分子・個体・生態系』は,かつて十年も前に蒼樹書房から出た(もう絶版になった)ダグラス・フツイマ『進化生物学(原書第二版)』のあとを引き継ぐ翻訳進化学テキストブックの定番の地位を占めるようになるだろうか.著者割引で購入できるようになるといいんだけど(と探りを入れてみる).考えてみれば,あのフツイマ本は本書の2/3の厚さで同じ15,000円という本体価格だったのだから,今回の翻訳出版はいまの出版界の厳しい状況を考えれば実はとても割安な価格設定といえるだろう(初版一刷でいったい何部刷ったのでしょう?).入手したらまずは訳文チェックかな.いずれにせよ,翻訳はたいへんお疲れさまでした.

【主要目次(翻訳担当者)】

第1部:進化生物学の戦略

1章:進化生物学の歴史(二河成男)
2章:分子生物学の起源(小柳光正)
3章:進化の証拠(疋田努)

第2部:生命の起源と多様性

4章:生命の起源(藤博幸)
5章:全生物の共通祖先と全生物の系統樹加藤和貴)
6章:真正細菌古細菌の多様性(I)系統と生物学的特性(岩部直之)
7章:真正細菌古細菌の多様性(II)遺伝学とゲノミクス(隈啓一)
8章:真核生物の起源と多様性(橋本哲男)
9章:多細胞性と発生(工樂樹洋)
10章:植物と動物の多様性(前田晴良・西村智弘
11章:発生プログラムの進化(星山大介)

第3部:進化の仕組み

12章:突然変異と組換えによる多様性の創出(小柳香奈子)
13章:DNAとタンパク質の変異(菊野玲子)
14章:複雑な形質の変異(高野敏行)
15章:機会的遺伝的浮動(原田光)
16章:集団構造(吉丸博志)
17章:変異に対する選択(猪股伸幸)
18章:自然選択とその他の因子の間の相互作用(舘田英典)
19章:選択の測定(松尾義則)
20章:表現型の進化(高須夫悟)
21章:競争と協力(蘇智慧
22章:種と種分化(村上哲明)
23章:遺伝システムの進化(谷内茂雄)
24章:新しい形質の進化(星山大介)

第4部:人類の進化

25章:ヒトの進化史(中務真人)
26章:人類進化の現在の問題(植田信太郎・金森雄輝)