Fernando Domínguez Reboiras, Pere Villalba Varneda und Peter Walter (Hrsg.)
(2002年刊行,Brepols Publishers[Instrumenta Patristica et Mediaevalia: 42 (Subsidia Lulliana: 1)], Turnhout, vii+372 pp., ISBN:2503512151[hbk] → 目次|版元ページ)
年明け早々こういう妖しい論文集が着弾するとは幸先がいい.ライムンドゥス・ルルスの「知識の樹(arbor scientiae)」に焦点を絞った珍しい論文集.のちの中世に記憶術として開花するさまざまに観念のルーツが論じられている(に違いない).その構成はきわめて多言語的であって,ドイツ語・英語・イタリア語・スペイン語・カタロニア語の論文のあいまにラテン語が混ざっている.アタナシウス・キルヒャーの『エジプトのオイディプス』をひもといたときのようなくらくら感を覚える.仕事始めの日に居室の書棚を整理したおかげで,目の前にはこの「ライムンドゥス・ルルス」論集をはじめとして,「フィオーレのヨアキム」や「ジョルダーノ・ブルーノ」の図像学・記憶術の本とか,中世哲学マレンボン本などがそろい踏みして,すでにアンタッチャブルな“魔界”を形成しつつある.『中世思想原典集成』が全巻揃っているという時点ですでにアヤシさ極大なのだが,さらに膨れ上がりつつある.善哉善哉.