『ポケ論!:語られざるポケモンの秘密を暴く』

(2012年5月刊行 → ポケジェクト本部紹介サイト ※サンプルページあり)

にしむらたかひろ「ポケモン系統樹描けるかな?」所収.形態形質と行動形質からの系統解析の「考え方」への格好のイントロになるだろう.「ポケモン系統樹」の大先輩である「架空生物」の進化と系統を論じた前例としては,「鼻行類(ハナアルキ)」と「Caminalcules」がとりわけ有名.「鼻行類」については,ハロルト・シュトゥンプケの元本が平凡社ライブラリーに入っているし,鼻行類の研究書(ハインツ・ゲールケ著・思索社刊)には,ハナアルキの解剖学研究を手がけた形態学者として George G. Simpson や Adolf Remane の名前も載っていたはず.かなり本格的だったんだろう.「Caminalcules」の方はもっとマイナーだけど,カンザス大学の昆虫学者だった Joseph H. Camin がトレーシングペーパー上で“進化”させたこの生物群を Robert R. Sokal が数量分類のテストデータとして用いたことで業界の中では有名になった.日本だと筑波大の徳永幸彦さんが書いた生態学の教科書がこの Caminalcules を使っているのがほとんど唯一の例じゃないかなあ.いずれにしても,天城山中でこのポケモン系統樹の話題を聞かなければうっかり見過ごしてしまうところだった.