シャロン・バーチュ・マグレイン[冨永星訳]
(2013年10月29日刊行,草思社,東京,ISBN:9784794220011 → 版元ページ)
翻訳されるべき本はちゃんと翻訳されるものだ.HONZ書評「『異端の統計学 ベイズ』 “信念”を数字に」(2013年10月29日).「統計学の世界で異端となった。それでも異分野での応用が秘かに続いたのは、運命だったか、それとも、ベイズの底力だろうか」.原書:Sharon Bertsch McGrayne『The Theory That Would Not Die: How Bayes' Rule Cracked the Enigma Code, Hunted Down Russian Submarines, and Emerged Triumphant from Two Centuries of Controversy』(2011年4月刊行,Yale University Press, New Haven, xiv+320 pp., ISBN:9780300169690 [hbk] → 部分書評|目次|版元ページ).
「ベイズ統計学」を統計学の講義の中で教えるとものすごくハードルが高く見えてしまうのは,そもそも統計学ではなく,科学哲学的な意味での推論の理論なのだと考えればすぐ納得できる.数学ではなく科学哲学.いわゆる「ベイズ統計学」の中で,数学定理としての「ベイズの定理」が果たしている役割はとても小さいと思う.ベイズの定理が(数式的に)理解できたからといって,ベイズ確証理論の哲学がわかったことにはならない.
ずっと前から,本棚の隅に「Bayes or Bust?」「Bayes and Bust」「Bayes not Bust!」の三点セットが並んでいるんだけど,コワくてまだ踏み入っていない.