『統計思考の世界:曼荼羅で読み解くデータ解析の基礎[仮題]』目次案

三中信宏

2016年2017年刊行予定,技術評論社,東京 → 経緯

一冊でどーんと出すのか,それとも二分冊になるのかは未定.付随する「R実習本」のアイデアが♨で浮かんだ.

【目次】

プロローグ:統計曼荼羅の拝み方 ― 統計学の世界を鳥瞰するために

第1講 素朴統計学:涙なしの統計ユーザーへの道

 統計学のロジックとフィーリング
 統計思考の認知心理的ルーツをさかのぼる
 アブダクションという推論様式
 賢明なる統計ユーザーであるために

第2講 グラフィック統計学:数と図のリテラシー

 図表によるデータの「見える化
 百聞は一見にしかず:可視化からはじまる統計への道
 ポアソン・クランピングの陥穽

第3講 データのばらつきを記述する

 平均と偏差
 平方和とその性質
 記述統計学と推測統計学のちがい
 自由度による分散の不偏推定値の導出

第4講 ルーツをたどる旅路(1):カール・ピアソンからの一世紀

 観察データと統計モデルとの関係
 統計学の数学との関わりを振り返る:カール・ピアソンの先駆的仕事
 統計学の誤解と誤用:農業試験研究の場合

第5講 ルーツをたどる旅路(2):統計学をめぐる論争は今なおやまず

 「p値」をめぐるせめぎあい ― ある統計学論争
 統計的推論の目標は何か?:強い推論と弱い推論
 フィッシャーを経由してネイマン-ピアソンへ
 ネイマン-ピアソンを超えて:証拠に基づくアブダクション

第6講 統計的思考に必要なリテラシー:文字・数字・図表

 統計学をめぐる生物分類論争
 認知的人工物のリテラシー,ニューメラシー,ヴィジュアル・リテラシー
 知識の体系化と情報の可視化

第7講 パラメトリック統計学:数理の世界

 統計理論の要塞を見上げる
 確率分布曼荼羅:確率分布の類縁関係を見わたす
 正規分布帝国:なぜ正規分布は最強なのか

第8講 実験計画法(1):完全無作為化法と多重比較

 実験計画法の理念と射程
 実験区の配置と線形統計モデル
 偏差,平方和,平均平方,そしてF値
 仮説検定と分散分析:要因の有意性を判定する
 多重比較の諸方法:水準間の有意差を判定する

第9講 実験計画法(2):乱塊法とその応用

 実験区をブロック化する
 多要因実験:複数の実験要因の組合せ
 分割区法:乱塊法の応用として

第10講 線形統計モデルのさらなる拡張

 線形モデル:その仮定と問題点
 拡張(1):一般化線形モデル
 拡張(2):混合効果モデル

第11講 統計モデル選択論:統計学アブダクションのために

 パラメーター推定問題とモデル選択問題
 データに対するモデルの当てはまり:尤度による評価
 よい統計モデルとは何か?:AICによるモデル選択

第12講 コンピューター統計学:データに自らを語らせる

 母集団からのサンプリング vs. データからのリサンプリング
 リサンプリング統計手法:ブーツストラップとジャックナイフ
 [1]ジャックナイフ法:重複を許さず無作為削除リサンプリングを反復する
 [2]ブーツストラップ法:重複を許して無作為同数リサンプリングを反復する
 データははたしてものを言うのか:理想と現実

第13講 ベイズの世界:論よりラン

 ベイズの定理:条件付き確率からの出発
 ベイズ的推論:事前から事後へ
 事後確率分布=尤度×事前確率分布
 [1]ベータ事前分布をもつ二項分布パラメーターの事後分布
 [2]正規事前分布をもつ正規分布の平均パラメーターの事後分布
 ベイジアンMCMC:福音か災厄か

第14講 多変量解析の細道をたどる

 変量間の共変動:その視覚化と定量
 一変量から二変量へ,そして多変量へ
 高次元データの攻略に向けて
 [1]グラフ化による可視化:クラスター分析の例
 [2]次元削減による可視化:主成分分析の例


エピローグ 統計曼荼羅の下張り ― 過去の産物としての現在


謝辞
引用文献リスト
索引