『全国アホ・バカ分布考:はるかなる言葉の旅路』

松本修
(1993年8月5日刊行,太田書店,東京, 446 pp.+カラー折込図版1葉, ISBN:4872331168

最新刊:松本修全国マン・チン分布考』(2018年10月10日刊行,集英社インターナショナル[インターナショナル新書・030],東京, カラー折込図版2葉+365 pp., 本体価格1,100円, ISBN:9784797680300目次版元ページ)を手にしたので,もう25年も前に出たこの本をひさしぶりに書棚から取り出した.方言周圏論に基づく日本全国の「アホ・バカ」の地理的分布を調べた本書はとても興味深い内容だった.だいぶ前にとある情報筋から聞いた話では,言葉に関するこのようなアンケート調査は本来なかなか難しいのだが,バックについたある “大物” の後ろ盾により,本書の調査は国語学的にはまれに見る成功例だったらしい.本書はその後,1996年12月に出版された新潮文庫[ま-15-1| ISBN:9784101441214]として再刊されたが,巻末の折込図版は含まれていないようだ(未確認).

【目次】
まえがき 2

第1章

 1. 「アホ」と「バカ」の境界線 18
 2. 全国アホ・バカ分布図の完成に向けて 28

第2章

 1. 「バカ」は古く、「アホ」はいちばん新しい 54
 2. 恐るべき多重の同心円 75
 3. 古典文学に潜むアホ・バカ表現 94

第3章

 1. 「フリムン」は琉球の愛の言葉 122
 2. 「ホンジナシ」は、本地忘れず 144

第4章

 1. 「アヤカリ」たいほどの果報者 166
 2. 「ハンカクサイ」は船に乗った 173
 3. 言葉遊びの玉手箱 185
 4. 分布図が語る「話し言葉」の変遷史 197

第5章

 1. 「バカ」は「バカ」のみにて「バカ」にあらず 212
 2. 新村出柳田國男の「ヲコ」語源論争 226
 3. 周圏分布の成立 236
 4. 学会で発表する 248

第6章

 1. 「アホンダラ」と近世上方 256
 2. 江戸っ子の「バカ」と「ベラボウ」 272
 3. 「アホウ」と「バカ」の一騎打ち 289

第7章

 1. 君見ずや「バカ」の宅 310
 2. 「アハウ」の謎 337
 3. 「阿呆」と「馬家」の来た道 350

エピローグ

 方言と民族のゆくえ 386

 

あとがき 403
アホ・バカ方言全国語彙一覧 410
参考文献 437
索引 [446-442]

 

カラー折込図版 1 p.