『博物学のロマンス』リン・L・メリル

(2004年12月10日刊行,国文社,isbn:4772005072



博物学は科学であってはならない」というのが著者のモットーらしい.「批評家や歴史家はふつう博物学を科学の項目に入れてしまうが,これは不幸なことである.博物学を科学として扱い,博物学が現代的に意味で言う科学的になることを期待するのは,博物学にとって好ましいことではないし,博物学の類まれな魅力をまったく無視することになる[p. 18]」とか「私としてはこう言いたい−−博物学の文章は文学と見なされるべきである[p. 37]」という著者のスタンスは要チェック.本書の前半では19世紀のイギリスにおける〈文化現象〉としての博物学を論じている.後半はまだ読んでいない.




【目次】
序 3
第1章:博物学のたしかな力 13
第2章:文化現象 52
第3章:言語と言説 85
第4章:科学的背景とふたつの文化 122
第5章:博物館と顕微鏡−−極微の世界とパノラマ世界 169
第6章:パロウズとラスキン−−「事実は多くて新しいほどよい」 216
第7章:博物学芸術とラファエル前派 255
第8章:フィリップ・ヘンリー・ゴス−−「貪欲な目の響宴」 297
第9章:チャールズ・キングズリーと磯の驚異 337
第10章:ヒュー・ミラーと喚情的な地質学 370
むすび 398
訳者あとがき 410
文献 [428-417]
索引 [436-429]