阿岸祐幸
(2009年1月20日刊行,岩波書店[岩波新書・新赤版1173],ISBN:9784004311737 → 版元ページ)
ただの「温泉本」ではない,温泉医学の入門書.ドイツの温泉について言及多し.ベルツの再来か.あとがきで,日本の温泉利用は「新鮮な生の素材にこだわる刺身料理」だが,ヨーロッパの温泉療法は「五感すべてを楽しませてくれるフルコースのフランス料理」だとまで言う(p. 200).著者の主張はリクツではわかるが,個人的にはどちらかといえば「刺身料理」の方がいいな.
以前読んだ:ウラディミール・クリチェク[種村季弘・高木万里子訳]『世界温泉文化史』(1994年12月10日刊行,国文社,ISBN:4772003711 → 紹介)を思い出した.海外の温泉といえば,ハンガリーに行ったとき,ブダペストの「ゲッレールト温泉」に入湯したのがぼくにとっての唯一の海外温泉体験だった.確かに,日本の温泉とは文化的なバックグラウンドがぜんぜんちがうことを嗅ぎとった.どっちがいいかと問われれば,両方あった方がいいと虫のいい答えを用意しよう..