『Born to Rebel: Birth Order, Family Dynamics, and Creative Lives』

Frank J. Sulloway

(1996年10月刊行,Pantheon Books, New York, xviii+653pp., ISBN:0679442324 [hbk])

15年前に話題になった本です.出版されてすぐに EVOLVE に紹介メールを流したので下記に転載:

Date: Fri, 25 Oct 96 06:38:19 JST
From: minaka@affrc.go.jp (MINAKA Nobuhiro)
Subject: [EVOLVE:2100] Sulloway's "Born to rebel"
To: evolve@affrc.go.jp (EVOLVE ML)


EVOLVE reader 諸氏:


三中信宏(農環研)


なぜ第2子は先天的に反逆するのか?

生物学史の研究者である Frank Sulloway の(きっと話題になる)新著が出ました。

 Sulloway, F.J. 1996(Oct)
 Born to rebel: birth order, family dynamics, and creative lives
 Pantheon Books, New York. ISBN 0-679-44232-4 (hbk), US$30.00, xviii+653pp.

昨日、日本橋丸善でたまたま見かけました。心理学・心理療法のコーナーに置かれていたので(タイトルを見ればしかたないのかも)、きっと生物学研究者は見る機会がないかもしれませんが、本書は、科学史・社会史の再検討の本であると同時に、れっきとした「進化生物学」の本です。



内容は、家族の中で子どもが占めるニッチの特性を統計的に解析し、家族の中での生まれ順が子どもの将来の社会的行動に決定的な影響を与えること、科学史・社会史での過去のできごとがその反映であることを示そうとしています。長子が保守的であり、次子以降が反逆的な性格傾向を持つことがこれによって説明できるのだとか。>今後きっと論議になるでしょう。



全編を通じてダーウィン家の家系・家族の分析が進化心理学の観点からなされており、進化学史や人間生物学に関心のあるこのMLの読者にとって、おもしろい本であるように思われました。



著者の Sulloway 氏は、これまでにもダーウィンのビーグル号での行動に関する詳細の心理分析を行った論文を出したり、フロイトに関する著作を出版しています。


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三中信宏 / MINAKA Nobuhiro / 農環研・計測情報科・調査計画研究室

電話帳のように分厚い本だが,SASを用いた統計解析の結果に基づいて議論を進めている.