『生命科学の近現代史』

廣野喜幸・市野川容孝・林真理(編)

(2002年10月20日刊行,勁草書房,東京,xx+375+18 pp., 本体価格3,400円, ISBN:4326153660

【目次】
はじめに――生命科学・医学の歴史を知ることの意味(編者) i


第1章:近代生物学の思想的め社会的成立条件(林真理・廣野喜幸) 1

 1.生命科学・技術の成立過程――四つの領域 2
 2.生物学の成立 4
 3.生物学への物理・化学的手法の導入 14
 4.生物学の社会的認知と制度化 19
 5.生物学とテクノロジー 27


第2章:近代生物学・医学と科学革命(廣野喜幸) 35

 1.科学革命論 36
 2.近代生物学・近代医学の誕生と史観 41
 3.近代医学史の概略 47


第3章:近代医学・生命思想史の一断面――機械論・生気論・有機体論(廣野喜幸・林真理) 53

 1.はじめに 54
 2.デカルト機械論の衝撃 56
 3.機械論 対 生気論 62
 4.第三の道――先駆としてのカント 73


第4章:生命科学と社会科学の交叉――十九世紀の一断面(市野川容孝) 91

 1.生命科学と社会科学 92
 2.「デカルト的二元論」という偏見――脳死問題を例として 93
 3.「個体=不可分体」という概念 98
 4.社会科学 107
 5.病める生命=社会 113


第5章:中世ルネサンスの医学と自然誌(小松真理子) 121

 1.はじめに――見取り図 122
 2.「十二世紀ルネサンス」と中世の医学教育のテキスト 127
 3.中世の医学の構造 132
 4.免許制度の進展と下級医療職の世界 141
 5.ルネサンス期のフマニスムと十六世紀の医学のうねり――再編への模索 143
 6.いきものの自然学の境位 146
 7.後期ルネサンス期における発生・生殖の問題 151
 8.十七世紀の「科学革命」と医学/生物学 158


第6章:人種分類の系譜学――人類学と「人種」の概念(坂野徹) 167

 1.人類学の研究領域 168
 2.人類学の歴史の「難しさ」 171
 3.「人種」分類の起源 175
 4.啓蒙時代の「人種」分類 178
 5.進化論と「人種」 185
 6.「人種」の「科学化」とその隘路 189


第7章:優生学の歴史(松原洋子) 199

 1.優生学史の特異性 200
 2.優生学史へのまなざしの変化 201
 3.優生学の成立 208
 4.優生学の思想的背景 213
 5.促進的優生学と抑制的優生学 216
 6.本流優生学と修正優生学 219
 7.優生学概念の変遷 221


第8章:生態学と環境思想の歴史(篠田真理子) 227

 1.はじめに――環境意識の歴史 228
 2.環境主義 232
 3.生態学とその前史 242
 4.景観と人間社会の歴史 251
 5.おわりに――自然誌の見直し 258


第9章:生物学と性科学(斎藤光) 267

 1.性科学とは 268
 2.性をめぐる科学の三つの軸――啓蒙期までの西洋科学の伝統から 272
 3.性をめぐる科学の三つの軸――生物学の成立以後 275
 4.性選択と性倒錯――性科学の成立 282
 5.性科学の展開 291
 6.おわりに 304


第10章:生物学とフェミニズム科学論(高橋さきの) 307

 1.フェミニズムから見たフェミニズム科学論 309
 2.生物学史から見たフェミニズム科学論 316


第11章:概念史から見た生命科学金森修) 339

 1.少数派としてのエピステモロジー 340
 2.内分泌概念史の素描的俯瞰 346
 3.結語 361


おわりに――読書案内とともに(編者) 365


事項索引 [13-18]
人名索引 [3-12]
執筆者紹介 [1-2]