昨日の昼休み,砂だらけになって読み歩いた結城浩『数学文章作法・基礎編』(2013年4月10日刊行,筑摩書房[ちくま学芸文庫・ユ-4-1],東京,193 pp., ISBN:9784480095251 → 版元ページ)のタイトルは,「作法(さほう)」ではなく「作法(さくほう)」と読むそうだ.
第1章「読者」の冒頭に「読者のことを考える」と書かれている.「読者は何を知っているか」「読者はどれだけ読みたがっているか」「読者は何を求めて読むのか」の三点が大切と(p. 18).
ワタクシは自分の本を書くときに,いつも隣で耳打ちする “読者” がひとりいる.その名は「ワルみなか」.「善良みなか」が必死で原稿を書いていると横からのぞきこんではあれこれ口出しをする.「善良みなか」がせっかく書いた文章にバクダンをしかけたり,よけいな伏線を埋め込んだり,暗号を刻みつけたりするのはすべて「ワルみなか」のしわざである.ワタクシはいつも「自分が読む」ために本を書いている.どこかのだれか別の人を「読者」として想定する習慣は念頭にはぜんぜんないなあ.読者はいつもここにいる自分(の分身).きわめて利己的な本書きです.