『ライティングの哲学:書けない悩みのための執筆論』感想

千葉雅也・山内朋樹・読書猿・瀬下翔太
(2021年7月21日刊行,星海社星海社新書・187],東京, 269 pp., 本体価格1,100円, ISBN:978-4-06-524327-5目次版元ページ

サクッと読了.著者四人四様の “書く人生” が座談会とエッセイに開陳されていてとても読み心地がいい本.アウトラインプロセッサーやエディターなど書くための “ツール” の話が多いが,その背後に見え隠れする “それでも書き続ける意志” がワタクシにはとても印象深かった.書けないときにどうするか?という根源的問題への各著者の対処法(心構え)は学ぶべき点が多々ある.

ワタクシ的には,日々の執筆ログを書き続ける点で, “シルヴィア後” 世代に属する山内朋樹のスタイルがもっとも近いかな.『読む・打つ・書く』にも書いたように,ワタクシが “シルヴィア前” から “シルヴィア後” に変身するきっかけとなったのは,読書猿氏の2013年のブログ記事だった.自分で自分を “執筆加圧” するスタイルを実装するのはそれほど難しいことではなかった.

本書は四人の著者が語り合う形式で書かれているので,読者は “書くスタイル” には人それぞれの多様性があることを知るだろう.ワタクシだったら,さりげなくしつこく読者を “ナッジ” するところだが,本書はそこまで強いメッセージを出しているわけではないようだ.