J・C・スマッツ[石川光男・片岡洋二・高橋史朗訳]
(2005年7月刊行,玉川大学出版部,東京, 本体価格5,700円, ISBN:4472403161 → 目次|版元ページ)
朝日新聞デジタル「日本会議、改憲の先に目指す社会 「親学」にじむ憲法観」(2016年6月17日)を読んだ.親学推進協会会長・高橋史朗は「主体変容(transformation)」とは「責任を他に転嫁しない、自分が変われば周りが変わるという考え方」と言う.この続きがスゴイ.主体変容なる概念は:「「全体論」という意味の「ホーリズム(holism)」について書かれた南アフリカの哲学者J・C・スマッツ(1870〜1950)の本に出てくる。スマッツは、ホーリズムを「宇宙における統一体の起源と進歩を運命づける原理」としている」― スマッツの全体論思想とは.
ここはもっとツッコまないと.この「場違い感」を以前どこかで感じたなあと “スマッツ” をキーワードにワタクシの日録を検索したら,はい,ありましたよ.11年前の2005年7月15日付けの日録 で,スマッツ『ホーリズムと進化』がどうしていま翻訳されたのかと書いていた.スマッツの本書の翻訳に高橋史朗親学推進協会会長(兼 日本会議政策委員)は関わっていた.スマッツの全体論の政治的役割を知っていて訳したんだろう.スマッツの全体論が日本会議と関係していたとは新たな発見.
そして要注意点:現在の状況は過去からの帰結.短期的な変化はすぐに感知できても,長期的な変動は見逃されやすい.欠測のない「定点観測」をずっと続けることでその問題は解決できる.