『造形思考(上・下)』

パウル・クレー土方定一・菊盛英夫・坂崎乙郎訳]
(2016年5月10日刊行,筑摩書房ちくま学芸文庫・ク25-1, ク25-2],472+350 pp., 本体価格1,600+1,500円, ISBN:9784480096012 [上巻] / ISBN:9784480096029 [下巻] → 版元ページ:上巻下巻

昨年買ったまま放置されていた本書の存在をふと思い出し上巻から読み始めている.「造形」というキーワードは “動き” をもつ「Gestaltung」に対応していて,“動き” をもたない「形態(Form)」とは区別化されていることを知った(上巻, p.79).おびただしい数の線画が文章と渾然一体となって,ときどき置いていかれそうになる.しかし,事前に:ティム・インゴルド[工藤晋訳]『ラインズ:線の文化史』(2014年6月30日刊行,左右社,東京,267+viii pp., 本体価格2,750円, ISBN:9784865281019書評目次版元ページ原書目次)を読んでいたのが功を奏したらしく,いまのところ遭難せずに読み進んでいる.本書『造形思考』は,もっと神がかった:ワタリウム美術館監修『ルドルフ・シュタイナーの黒板絵』(2014年3月25日刊行,日東書院,東京, 160pp.,本体価格4,800円, ISBN:9784528010536目次)に比べれば,はるかに論理的で “こっちの世界” 寄りなので安心できる.