『内田魯庵山脈:〈失われた日本人〉発掘(下)』

山口昌男

(2010年12月16日刊行,岩波書店岩波現代文庫・G246],東京,x+455+40 pp., 本体価格1,600円,ISBN:9784006002466情報目次版元ページ

主役たる内田魯庵はときには舞台上で大向うをうならせ,またあるときは舞台袖や奈落の底からその存在感を漂わせている.上巻に続くこの下巻でも,「いもづるネットワーク」(18〜19章)に連なる“無名”の人びとや「『本屋風情』遺聞」に見る柳田国男の性格の悪さをはじめ,たくさんのエピソードが拾われている.著者は主役である内田魯庵に惹かれつつもときに反発を感じている.このような知の「地下水脈」は今ではすべて喪われてしまった.本書の姉妹編である:山口昌男「敗者」の精神史(上・下)』(2005年刊行,岩波書店岩波現代文庫], ISBN:4006001444 / ISBN:4006001452版元ページ)と山口昌男「挫折」の昭和史(上・下)』(2005年刊行,岩波書店岩波現代文庫], ISBN:4006001401 / ISBN:400600141X版元ページ)もあわせて手にしたい.