『ダーウィンと進化論の哲学』

日本科学哲学会編/横山輝雄責任編集

(2011年6月25日刊行,勁草書房[科学哲学の展開・2],東京,本体価格3,900円,viii+308pp, ISBN:978-4-326-10178-8感想詳細目次版元ページ

山形浩生[朝日新聞書評ボツ本]日本科学哲学会『ダーウィンと進化論の哲学』:こんな連中に科研費やるのは無駄だと思う。」(2011年7月17日)ではコテンパンに叩かれている.これだけ叩かれてなお立ち上がれるなら何の心配もなし.感じるものがなければ将来なし.てな感じですかね.それにしても,元記事の加筆訂正がどんどん進行していることが気になる.タイムラインで編集履歴をたどった方がよかったかも.

山形浩生さんとは書評の基本スタンスがきっとちがうので,合意にいたるとは思えないが,そんな一般論とは別に,ワタクシの書評(2011年7月1日)を「それだけに、なんで三中氏がほめてるのかよくわからん」と解釈したのは的外れ.ぜんぜん褒めてないことは読みゃわかるでしょう.玉石混交の論文集を手放しでほめるようなリスキーなことはとうていできない.ましてや,本書みたいに既出論文の寄せ集めた論集だと,なおさら読者サイドとしては気を付けないと.しかし,どんな論文集にも「うまい部分」は必ずあるわけで,ワタクシの書評ではそこを取り上げた.

だから,ワタクシが本論文集を「ほめた」と山形浩生さんが考えるのはワタクシの本意ではないということです.むしろ,「ほんまにええ論文集が出たなあ.よかったやん」という論調のウラをそっと読みとっていただければそれですんだ話ではないかと思います.山形浩生さん的にはもっとストレートに斬ってしまうのが書評の基本姿勢なのだろうと推測していますが,ワタクシの場合はそうではないということで.「オマエ,ばかだなあ!」と「あんた,ホンマに賢いなあ」という表現のちがいですね.

結論を言えば,山形浩生さんの今回の書評に対しては基本的に異論はないですよ.日本科学哲学会に「学会」としてどうこうしてほしいということではなく,日本科学哲学会の「会員」はもっとガンバローということです.個人的には科学哲学はできるだけエンカレッジしていきたいという基本路線をずっと守っていくつもりでいます.

さらなる話の続き —— はてなブックマーク山形浩生 - 「日本科学哲学会『ダーウィンと進化論の哲学』:こんな連中に科研費やるのは無駄だと思う。 - 山形浩生 の「経済のトリセツ」  Formerly supported by WindowsLiveJournal」 ※ワタクシは「淀川長治」かあ〜(笑).日本の場合,科学哲学の「業界」は想像以上に小さいのでワタクシ的にはあまり関心がない.現時点では一体性のある「団体」というよりも,意識をもった個人からなる「束」とみなした方が現実に即しているのではないだろうか.もちろん,生物学哲学の若手研究者たちは David Hull の言う「活動的な小集団」を形成しているようにみえるので,近未来的に実行力のある集合体をつくっていくのかもしれない.いずれにせよ,ワタクシは科学哲学者「個人」の仕事に興味はあっても,(日本の)科学哲学者「集団」に対する意見は何もない.