『分類山村語彙』

柳田國男・倉田一郎(編)

(1941年5月15日刊行,信濃教育會,長野, 4+410 pp. → 書評目次国立国会図書館デジタルコレクション

古書店の店先でたまたま手に取った黒っぽい本だったが,本との出会いは一期一会なので,その縁を大切に.日本各地の山村で採集されたことばの時間的・地理的関連性について,「既に採集せられた一語の,又他の土地にもあつたといふことは,事實を確かめるだけでなく,なほ其由來の遠いことを推測せしめる.同じ言葉の解釋の少しづゝのちがひは,誤謬を正す以上に,又考へ方の變遷を跡づけしめる場合もある」(pp. 3-4)という系統学的視点を提示していてとても興味深い.ことばの民俗学は系統学的アプローチが十分に適用可能な分野だとワタクシは信じる.