『世界のカエル大図鑑』読売新聞書評

ティム・ハリデイ[吉川夏彦・島田知彦・江頭幸士郎監修|倉橋俊介・坂東智子・日野栄仁・世波貴子訳]
(2020年9月25日刊行,柏書房,東京, 656 pp., 本体価格10,000円, ISBN:978-4-7601-5235-3版元ページ

読売新聞小評が公開された:三中信宏世界のカエル大図鑑 ティム・ハリデイ著」(2020年10月11日掲載|2020年10月19日公開).



 全世界の代表的なカエル600種を集めた大図鑑。みごとなカラー写真の数々と解説文はカエルに対する先入観を打ち砕くのに十分だ。

 日本産の多くのカエルは地味で目立たない保護色だ。しかし、南米産のヤドクガエル類は致死的な強い毒素を誇示する赤青黄の派手な警告色模様をひけらかす。体長わずか1センチにも満たないガーディナーセーシェルガエルもいれば、30センチ超で体重3キロもある巨大なゴライアスガエルもいる。フウハヤセガエルは超音波を発してメスを惹きつけ、ボールガエルは“ティンパニ”のように轟く鳴き声を発し、ヒラバチガエルの鼻にかかった「アンッ」というあやしい声とよりどりみどり。

 たとえ過酷な環境にあっても生物はひたすら生き延びるすべを探し出す。カエルの多様性はその帰結である。葉の付け根に溜まったわずかな水の中で一生を過ごしたり、よりによって水とは縁遠い乾ききった砂漠の砂の中で暮らすカエルもいる。しかし、環境破壊とツボカビ症の猛威は多くのカエルを窮地に追い込んでいる。倉橋俊介・坂東智子・日野栄仁・世波貴子訳。

三中信宏[進化生物学者]読売新聞書評(2020年10月11日掲載|2020年10月19日公開)



全世界のカエル600種のカラー図鑑.徹底的にカエルだらけ.いやが上にも目立ちまくるヤドクガエル類はまあいいとして,「おい,その表現型はもうちょっと何とかならんかったんか?」とレフリーコメントを付けたくなるカエルさんも.それにしてもカラー図版がみごと.この仕上がりで1万円という価格設定は良心的すぎるとワタクシは感じた.